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関西電力が2019年10月に全面稼働させた「新顧客料金システム」で、システム設計のミスに起因する3種類の不具合が発生した。約2万件の契約書面が未交付になったほか、割引の未適用などが生じた。プログラムの実装漏れやデータ移行時の不備などが原因だった。30年ぶりの大規模開発でテストに念を入れたが、一部ケースに見落としがあった。

 関西電力は2019年7月から2020年7月にかけて、「新顧客料金システム」に関連する3種類の不具合を相次ぎ発表した。いずれもシステム設計のミスに起因する不具合だった。

 新顧客料金システムとは、2017年4月の電気とガスの小売り自由化に合わせて、関電が2017年4月から2019年10月にかけて段階的に稼働させたシステムだ。関電は電気とガスの自由化に伴い、季節や時間帯によって料金単価が安くなる電気の「自由料金メニュー」を新設したり、都市ガス事業である「関電ガス」を始めたりした。こうした新しいメニューやサービスを使う顧客の契約を管理し、請求などの処理を担うのが新顧客料金システムとなる。従来の「規制料金メニュー」の契約は既存の料金システムで管理を続けている。

 関電は2019年7月、自由料金メニューを契約したり変更したりした顧客の一部に契約書面を交付できていなかったと発表した。契約書面は電気事業法などで交付が義務付けられている。対象件数は合計2万297件だった。

 2019年12月には、電気とガスの両方をセットで契約している顧客の一部に、「電気セット割引」「ガスセット割引」が適用されていなかったと発表した。対象件数は合わせて705件だった。

 そして2020年7月に、口座振替で電気料金を支払っていて、それまで加入していた自由料金メニューから別の自由料金メニューに切り替えた顧客の一部に、適用されるはずの口座振替割引が契約変更前の最終月分、適用されていないことが分かった。対象件数は1026件だった。

機能追加時に実装漏れ

 契約書面が未交付となる不具合は、顧客からの指摘がきっかけで2019年6月に見つかった。詳しく調べると2つのケースで契約書の書面が交付されないことが分かった。

 1つは関電ガスの閉栓と開栓に関する情報を同時にシステムへ登録する場合だ。「関電ガスを契約している顧客が引っ越しのため、これまでの住居で使っていたガスを閉栓してから、新居でガスを開栓する」というケースでこうした登録が行われる。

 「閉栓のみ」「開栓のみ」についてシステムに登録する場合、契約書面は交付されるようになっていた。ところが稼働当初のシステムでは、閉栓と開栓の同時登録ができなかった。そこでシステム稼働後に閉栓と開栓が同時に登録できるよう新機能を追加したのだが、そこでミスが発生した。機能追加時の設計内容の指示が不明確だったことから、閉栓と開栓を同時に登録する機能が、契約書面を交付するロジックと連携していなかった。