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横浜銀行などの共同利用システム「MEJAR」で2022年8月8日、システム障害が起きた。午後3時22分から翌日午前2時ごろまで、内国為替の送受信ができなくなった。内国為替を扱うシステムのデータベースにおけるデータ不整合が原因だった。MEJARはNTTデータがシステムを開発し、地方銀行5行から運用などを受託する。2018年の追加開発時に、データ整合性を担保する作り込みや検証が不足していた。

 2022年8月8日午後3時22分、横浜銀行、北陸銀行、北海道銀行、七十七銀行、東日本銀行が共同利用する「MEJAR」で、内国為替の送受信ができなくなるシステム障害が発生した。MEJARは銀行の勘定系や「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」への接続系などからなるシステムで、NTTデータが開発し、5行から運用などを受託している。

 このシステム障害によってMEJARの利用行では一部のATM(現金預け払い機)やインターネットバンキングなどで、一時的に他行への振り込みができなくなった。他行からの振り込みもその日のうちに完了せず、顧客の口座に入金されなかった。一連の障害は8月9日午前2時ごろまでに復旧した。

 北陸銀行では、他行からの振り込みといった被仕向け取引で約700件、他行への振り込みに当たる仕向け取引で約900件がそれぞれ影響を受けた。横浜銀行は障害が発生したATMに行員を配置し、一部の顧客には他行のATMでの手続きを案内した。

 NTTデータは8月8日午後3時22分に、振込取引の異常を示すエラーメッセージを検知した。エラーは他行への振込処理と、他行からの振込処理の両方で発生していた。

 他行への振込処理については、為替業務に関するデータを送信するアプリケーションでシステムエラーが発生。それに連動してインターネットバンキングなどによる取引を扱うシステムやATMなどで一定時間内に処理が終わらず、タイムアウトエラーが発生した。

 一方、他行からの振込処理では、為替業務に関するデータを受信するアプリケーションでシステムエラーが発生した。このアプリケーションの前段には、全銀システムから受信電文を受け付けて蓄積するシステム領域がある。通常、為替業務受信アプリケーションはこの領域との間に設けた論理パスを介して、電文を受け付ける。しかしアプリケーションのエラー発生を機に、この論理パスが切断された。その後、全銀システムから届いた受信電文は、蓄積領域に滞留。これによって、他行から指定された口座にすぐ着金されない状況になった。

店番情報データが不整合に

 NTTデータの担当者がシステムログなどを調査した結果、原因がデータベース(DB)にあると分かった。

 エラーが発生した為替業務のデータを送受信するアプリケーションは、振込処理の際に勘定系システムのDBが管理する「モア店番情報テーブル」を利用する。これは店番をはじめとする銀行店舗に関する情報を管理するテーブルで、平日夜間や土日祝日といった時間帯である「モアタイム」に利用する。

 全銀システムでは平日の日中帯の取引を「コアタイムシステム」、平日夜間や土日祝日の取引を「モアタイムシステム」で処理する。MEJARは2018年10月にモアタイムシステムに接続し、モアタイムの時間帯にも銀行間での即時送金ができるようになった。

 為替業務のアプリケーションは振込処理を高速化するため、モア店番情報テーブルへのアクセスに先立ってインデックスを参照する。しかしエラー発生時には、モア店番情報テーブルとインデックスとの間でデータの不整合が発生していた。このため、アプリケーションがインデックスに従ってテーブルにアクセスしても、「アクセス先にデータが存在しない」といった理由でシステムエラーになった。