2月末に世界最大の携帯関連見本市「MWC19バルセロナ」が開かれた。5Gの商用化を目前にスマホメーカーが新型機を発表、注目を集めた。「疑惑」に揺れる中国ファーウェイは巨大ブースを構え、トップが講演するなど全力で最新製品をアピール。10月に日本で携帯事業を始める楽天は通信網の構築ノウハウを披露した。現地取材に基づき「5G前夜」の最新動向をまとめた。
「5Gはもはや未来のものではなく、ここにある」。フィンランドのノキアのラジーブ・スリ最高経営責任者(CEO)はMWC19開催前日の2019年2月24日、報道関係者向けのイベントでこう宣言した。ノキアはスウェーデンのエリクソンや中国の華為技術(ファーウェイ)とともに通信機器大手の一角を占め、世界各地で第5世代移動通信システム(5G)のサービス展開に関わる。冒頭の発言は5Gの商用サービスがいよいよ始まるこのタイミングを踏まえてのものだ。
日本ではNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社が2020年に商用サービスを予定する。世界に目を向けると米ベライゾンは固定回線の代替用途ではあるものの2018年10月に世界初の5G商用サービスを開始。韓国では大手3社が2019年3月末に5Gの電波を直接受信できるスマートフォン(スマホ)を一般消費者向けに発売し、5Gの商用サービスに乗り出す。2019年中には欧州やオーストラリア、中国などでも5Gの商用サービスが始まる。
まさに「5G前夜」の時期だけに、MWC19では5Gの商用展開を前提とした通信機器の展示が多く見られた。例えばエリクソンは家庭の窓ガラスに貼り付ける5Gアンテナを出展。さらに自宅近くの5G基地局を地図で確認し、5G対応無線LANルーターの設置場所を決める際の参考にできるスマホアプリも展示した。