消費税を正確に徴収するためのインボイス制度が2023年10月の運用開始まで残り半年となった。政府は2023年度の税制改正大綱で中小事業者などに向け、様々な「特例」を示した。インボイスとこの特例は経理DXにどう影響するのか解説する。

消費税を正確に納付するために必要となる「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」が、2023年10月1日の運用開始まで残り半年ほどと迫ってきた。これに先立ち財務省は2022年12月、制度の一部修正案を2023年度の税制改正大綱で示した。政府はインボイス制度の修正を含む税制改正関連法案を2023年2月3日に国会へ提出しており、2023年夏ごろまでに新制度がほぼ固まる見通しだ。
税制改正大綱に盛り込まれた修正案は、インボイス制度で大きな影響を受ける個人事業主や事務負担の増大を心配する中小企業を代表する業界団体の意見を踏まえた自民党の税制改正大綱がベースとなっている。免税事業者が課税事業者へ転換する場合の負担に配慮したり、中小事業者などの事務負担の軽減策を講じたりしている。
ただ、それらの多くは適用条件が細かく設定されている。制度を誤認していたがゆえに税負担が増えるといった事態を避けるため、修正案を踏まえた最終的なインボイス制度を正しく理解することが欠かせない。