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新型コロナウイルスの感染拡大によって多くの日本企業がこの春、大規模なテレワークへの移行を突然強いられた。VPN(仮想私設網)の同時接続数や自宅で使う端末が足りない――。想定外の困難に情報システム部門やユーザー部門はどのように立ち向かったのか。各社の「テレワーク大作戦」の実像に迫る。

従業員が少なくなった損保ジャパンのオフィス(写真提供:損保ジャパン)
従業員が少なくなった損保ジャパンのオフィス(写真提供:損保ジャパン)
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 個人向け自動車保険などを提供するチューリッヒ保険は、自動車保険のコールセンターのオペレーターほぼ全員をテレワーク勤務とした。個人情報を扱うコールセンターの業務のテレワーク化は難しいとする企業が多い中、同社は緊急事態宣言が発令された翌日、2020年4月8日からテレワークに全面移行した。

無人となったチューリッヒ保険のコールセンター(写真提供:チューリッヒ保険)
無人となったチューリッヒ保険のコールセンター(写真提供:チューリッヒ保険)
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 自動車保険以外も含めたオペレーターは約850人。郵送物受け取りや押印のための出社を除き、オペレーター全体の95%以上がテレワークで勤務した。オペレーターら社員は仮想化されたデスクトップ画面経由でシステムを利用する。6月1日に緊急事態宣言が解除されてからは、オペレーターのテレワークは継続しつつも、一部出社して対応する試験運用を始めている。

 オペレーターは自宅から私用のパソコンとスマートフォンを使って業務を進める。顧客がコールセンターに電話をかけると、国内のPBX(構内交換機)が電話を中継し、オペレーターのスマホとつながる。米シトリックス・システムズのデスクトップ仮想化技術を使うことでオフィスにいるときと同じ画面で電話対応ができる。

 パソコンやスマホ、ヘッドセットやモバイルルーターは必要に応じて会社が貸与する。ヘッドセットはほぼ全員、モバイルルーターは1割程度のオペレーターが会社の備品を使っている。

 コールセンターは大人数が1つのオフィスに集まる。密閉・密集・密接のいわゆる「3密」の職場であり、これをテレワークにできた意義は大きい。しかも事故情報など機微な個人情報を扱うコールセンターは、セキュリティーへの配慮が特に求められる。時には厳しいクレームを受けるオペレーターに対して、上司の丁寧なサポートも必要だ。保険各社はセキュリティーの確保とオペレーターのサポートのため、コールセンターのテレワーク化を検討してこなかったのが実情だった。

テレワーク中の東京ガスのオフィス(写真提供:東京ガス)
テレワーク中の東京ガスのオフィス(写真提供:東京ガス)
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自宅で勤務するキユーピーの従業員(写真提供:キユーピー)
自宅で勤務するキユーピーの従業員(写真提供:キユーピー)
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