ITサービス各社の2019年度業績はデジタル投資の拡大を背景に好業績が目立った。売上高ランキング上位30社を見ると、9割の企業が増収増益だった。ただし先行きには新型コロナが影を落とす。好調企業の業績を分析するとともに、2020年度の業績を展望する。
ITサービス大手各社の2019年度の業績は「過去最高」のオンパレードだった。「創立以来、31期連続の増収を達成できた」(NTTデータの本間洋社長)、「売上高と営業利益は前期に引き続き過去最高を達成した」(野村総合研究所=NRIの此本臣吾会長兼社長)といった声が決算会見で聞かれた。
この2社以外にも、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は売上収益や全ての利益項目が統合後最高、TISも売上高と営業利益が過去最高だった2018年度の業績を更新するなど、ITサービス業界全体でここ数年続いている好調ぶりを維持した格好だ。
過去最高業績が相次いだ要因についてSMBC日興証券の菊池悟シニアアナリストは、「2018年度に引き続き、デジタル変革(DX)へ投資する企業や官公庁が多かった」ためと説明する。
2018年度は案件が増えてITエンジニアの稼働率が高まった上に、受注単価も上がって各社の業績を後押しした。2019年度は「ITエンジニアの稼働率が限界まで高まり、受注側であるITサービス企業の言い値がより通りやすくなった」(菊池シニアアナリスト)ため、売上高や営業利益が大きく伸びる結果になった。
日経コンピュータはITサービス大手の2019年度の有価証券報告書を基に、売上高上位30社をランキングした。さらにこの30社を営業利益率と営業利益の伸び率の順でそれぞれ並べ、大きく伸びた企業の要因を探った。また、新型コロナ禍が拡大する時期に重なる2020年度第1四半期や第2四半期の決算から、次年度以降のIT業界の業績を展望する。