優れたIT活用事例に贈賞する日経コンピュータ主催の「IT Japan Award」。今回グランプリに輝いたのは、みずほフィナンシャルグループだ。勘定系システムを全面刷新する空前絶後のプロジェクトが高く評価された。準グランプリは独自のデータ経営を貫くワークマン。特別賞はエルピクセル、東京都、日本生命保険が受賞した。受賞企業・団体の先進事例を紹介する。
「2度、大きなシステム障害を起こした。老朽化したシステムの問題に加えリスク管理、障害対応、IT人材の育成、経営のイニシアチブにも課題があった。プロジェクトはそうした経営課題を乗り越えるための取り組みだった」。2020年8月下旬にオンラインセミナーとして開いた日経BP主催のIT経営フォーラム「IT Japan 2020」での講演で、みずほフィナンシャルグループのグループCIO(最高情報責任者)である石井哲専務はそう振り返った。
14回目を迎えたIT Japan Award。グランプリを受賞したみずほFGは、20年の歳月をかけた勘定系システム刷新プロジェクトを完遂し、2019年7月に新システムを全面稼働させた。
準グランプリは作業服専門チェーンのワークマンが受賞。正確な需要予測と独自の発注システムが支えとなり、新業態の立ち上げに成功した。特別賞はエルピクセル、東京都、日本生命保険。エルピクセルはAIを使った医療用画像解析ソフトウエアを製品化した。東京都は新型コロナウイルス対策サイトを1週間で開発。日本生命は経営トップが主導しDXに取り組む。
IT Japanでは、みずほFGのほかワークマンと日本生命が受賞企業講演を行った。IT Japan Awardは日経コンピュータが2007年に創設した。優れたIT活用事例に光を当てノウハウを共有するのが狙い。今回の審査対象は2019年5月から2020年5月に日経コンピュータと日経クロステックに掲載した事例だ。