小中学生に1人1台の端末が導入され、いよいよICT教育が本格化する。ただ、ハードウエアの整備は進む一方で、ソフトウエアの選定や活用に頭を悩ませる小中学校は少なくない。ICTの先進活用校はどのようなソフトやサービスを使い、学んでいるのか。多くの子どもが実際に使うAI(人工知能)教材やクラウドサービスなど「大人だけが知らない」学校現場のEdTechに迫る。
「子どもたちは大人顔負けの使い方をすることがありますよ」。学校教育の現場で米グーグルの「Google for Education」や米マイクロソフトの「Microsoft Education」を活用する小学校の教師はこう口をそろえる。
「EdTech」というと教育に特化した特別な機能を備えたソフトウエアやサービスを思い浮かべるかもしれないが、いま学校の現場で最も活用が進んでいるEdTechはオフィスソフトなどの汎用ツールである。ライセンス体系などを教育機関向けに設定しているものの、GoogleスプレッドシートやMicrosoft Teamsのチャットなど企業が使っているソフトウエアと同じだ。
オフィスソフト
汎用ツールこそEdTech 使い方は「大人顔負け」
愛知県の春日井市立藤山台小学校では、児童の登校から授業前、授業中、休み時間、放課後の家庭学習に至るまで、一連の学校生活にGoogle for Educationを活用する。6年生のクラスを担任する久川慶貴教諭は、Google Classroomに1日の授業の流れを登録している。児童は登校するとまずChromebookを開き、その日の授業予定やそれに使うワークシートなどを確認。久川教諭は「以前は漢字などの学習予定をプリントで配布していたが、紙だと修正の手間がかかる。Googleスプレッドシートに計画を入れておくことで、変更をすぐに児童と共有できるようになった」と変化を語る。
授業の形も変化した。「(Chromebookと紙のノートの)どちらがよい、という先入観を植え付けたくない。自分で最適なツールを選べる大人になってほしい」と久川教諭は話す。算数のように試行錯誤の過程が大切な教科は紙のノートを推奨するなどしながら、教科の特性に応じてChromebookと紙のノートを併用する。教科の中では、例えば国語の作文において「一度紙に書いた文章の修正は児童にとって手間だが、ファイル上であれば教師のコメントを反映してブラッシュアップしやすい」。久川教諭はこうした点にChromebookの効果を感じている。