新型コロナウイルス対策として、多くの企業が在宅テレワークを継続中だ。社員の安心と満足度を維持しつつ、どう仕事の効率や生産性を高めるのか。テレワークを社員の生産性向上につなげた会社は、移行時の「足固め」、そして「飛躍」という段階を踏んで成功している。「在宅の働き方改革」を進めた5社から、テレワークを確実に定着させる最適解を探る。
最初にテレワークに適した業務ツールや環境を整備して社員の習熟度を高め、続いて社員の生産性を高める「在宅の働き方改革」を進める――これが、在宅テレワークを競争力の向上につなげる黄金パターンである。
アフラック生命保険、三井不動産、米製薬大手メルクの日本法人MSD、化粧品メーカーのランクアップそしてリクルートの取り組みはその好例だ。いずれの会社もテレワークを定着させ、仕事の生産性や社員の満足度を高めることに成功した。
まずテレワーク環境を普及・定着させるコツから見ていこう。
ツールの使い方をポータルで指南
医療保険やがん保険を手掛けるアフラック生命保険はテレワークを2020年2月下旬から始めた。約5000人いる社員の出社率を同年4~5月までの間、70%以上減らす目標を掲げて達成。その後も約60%が在宅勤務を続ける。
在宅勤務を始めるに当たり、同社はツール支援に軸足を置き、関連情報を提供したりeラーニングを実施したりした。提供した情報の1つが「Teams」「Webex」といったコミュニケーションツールに関するものだ。営業部門など一部社員を除き、内勤中心の業務部門では初めて使う社員が少なくなかったという。そこで「社内ポータルサイトや毎週社内で放送しているニュース番組などを通して、ツールのメリットや使い方を説明した」とダイバーシティ推進部の貫名萌課長代理は話す。
eラーニングは管理職に向けて「テレワークにおけるマネジメント」をテーマに実施し、好評だったという。
MSDは在宅勤務の課題を社員が自ら解決できるよう、ITに関するオンライン研修を充実させている。既存の内容に加え、2020年3月以降Web会議サービスなど頻繁に使うようになったツールの使い方などを盛り込んだ。音声が途切れないポイントやプレゼンの仕方などテレワークを進めるコツやテクニックを紹介する。これが奏功し、受講者数は1カ月当たり1000人以上と、社内で関心が高まっている。