全5407文字

米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)が年次イベント「re:Invent 2020」で40を超える新サービス・新機能を発表した。目立ったのは人工知能(AI)/機械学習サービスの拡充だ。新機軸として、不良品検出や機械異常検知などの産業向けAIを発表した。自社業務に合うよう機械学習をして利用するいわば「半完成品」のAIだ。このAIをはじめ、AWSが発表した主要な新サービスを取り上げる。

基調講演を行うアンディ・ジャシーCEO(最高経営責任者)(写真提供:米アマゾン・ウェブ・サービス)
基調講演を行うアンディ・ジャシーCEO(最高経営責任者)(写真提供:米アマゾン・ウェブ・サービス)
[画像のクリックで拡大表示]

 米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は2020年11月30日~12月18日(米国時間)にオンラインで年次イベント「AWS re:Invent 2020」を開催。アンディ・ジャシーCEO(最高経営責任者)らが基調講演で40を超える新サービス・新機能を発表した。

 特に目立ったのは、人工知能(AI)/機械学習に関連したサービスへの注力ぶりだ。AWSは2016年にAIサービスを投入して以降、1年で追加するAI関連の新サービス・新機能の数を右肩上がりで増やしている。今回のre:Inventでは26個に上った。

表 AWSがre:Invent 2020で発表した機械学習関連の新サービス・新機能
機械学習サービスを大幅に強化(注:提供ステータスは2020年12月21日時点)
表 AWSがre:Invent 2020で発表した機械学習関連の新サービス・新機能
[画像のクリックで拡大表示]

 力を入れるAIサービスのジャンルにも変化があった。これまでは主にカスタムAIの開発支援サービスと、画像解析や音声認識などすぐに使える学習済みの単機能AIを中心にサービスを提供してきた。今回は「産業向け機械学習サービス」というAWSにとっての新しいサービス分野を設けて、製造・物流の特定業務に特化したAIサービスとハードウエア製品を投入した。学習済みのAIを提供するのではなく、企業が自社の業務に合うようAIモデルに機械学習をさせて完成させるのが特徴だ。ターンキーで使えるAIではないが、導入のハードルは低いという。「半完成品」のAIといえる。

 その1つがジャシーCEOが基調講演で発表した「Amazon Monitron」である。産業機械の異常な動作を検知するAIモデルの機械学習サービスを中核として、センサーやゲートウエイ機器をセットで提供する。軸受けやモーター、ポンプ、ベルトコンベヤーなどの回転装置にセンサーを取り付けて振動や温度などの変動を監視し、メンテナンスが必要かどうかを判定し通知する。メンテナンス技術者はリアルタイム監視用のモバイルアプリを使い、AIのアラート判定にフィードバックし、継続的に精度を改善する。

 「既存のカメラを利用してコンピュータービジョンを使いたいとの顧客ニーズに応える」。ジャシーCEOがこう語って発表したのが「AWS Panorama Appliance」だ。施設内にエッジサーバーを設置し、現場のカメラと接続することでコンピュータービジョンの機能を付加する。ユーザーはAI開発環境サービスの「Amazon Sage Maker」で開発したコンピュータービジョンのAIモデルをエッジサーバーに配置することで、現場の混雑状況を数値化したり、工場の生産ラインの変化を見つけたりすることが可能になる。

 このほか、センサー機器やデータ収集基盤をすでに持っている企業のAIモデル開発を支援する「Amazon Lookout for Equipment」や、AWSで機械学習させたコンピュータービジョンのAIモデルによって画像や動画のストリームデータを基に製品不良や製造プロセスの異常を検知する「Amazon Lookout for Vision」も発表している。