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住信SBIネット銀行が次期勘定系システムの開発を日立製作所に委託する。Linuxで稼働する日立のオープン勘定系パッケージの採用を決めた。2007年から使ってきた日本IBMの「NEFSS」から移行する。

 三井住友信託銀行とSBIホールディングスが折半出資する住信SBIネット銀行は2022年にも勘定系システムを刷新する。本誌の取材によって明らかになった。2007年の開業以来、日本IBMの勘定系パッケージ「NEFSS」を使ってきたが、Linuxで動作する日立製のオープン勘定系パッケージに乗り換える方針だ。

 日立のオープン勘定系パッケージは他システムや外部のFinTechサービスと連携しやすいという特徴がある。導入実績としては、2019年7月に九州フィナンシャルグループ傘下の肥後銀行で稼働済みで、静岡銀行も2020年度中の稼働を目指している。

 日立と住信SBIネット銀行は2019年5月、AI(人工知能)を使った審査サービスを手掛ける合弁会社を設立していた。住信SBIネット銀行のデータを扱う技術やノウハウと日立のAIとを組み合わせた審査サービスを金融機関向けに提供する。こうした取り組みが今回のきっかけとなった可能性がある。

 SBIホールディングスは「第4のメガバンク構想」を掲げ、地方銀行との連携を推し進めている。既に島根銀行や福島銀行、筑邦銀行と資本業務提携を締結済みで、参加行は今後も増えそうだ。日立にとっては、住信SBIネット銀行向けのオープン勘定系システムを無事に稼働できれば地銀連合構想へのアピールとなり、勘定系ビジネスのシェア拡大に向けた絶好のチャンスになる。

NEFSSの邦銀ユーザーは消滅

 住信SBIネット銀行はこれまでNEFSSベースの勘定系システムについて、開発と運用を日本IBMに委託してきた。それが日立に切り替わる。今回のリプレースでNEFSSの邦銀ユーザーはなくなる。NEFSSベースの勘定系システムの導入はスルガ銀行も目指していたが、断念していた。

 住信SBIネット銀行に限らず、2000年代後半に設立されたネット銀行は開業から10年以上がたち、勘定系システムの刷新ラッシュを迎えている。さらにKDDI子会社と三菱UFJ銀行が出資するじぶん銀行も勘定系システムを刷新中で、米オラクル子会社の勘定系パッケージ「FLEXCUBE」から、Windows Serverで動作する日本ユニシスのオープン勘定系「BANKSTAR」に乗り換える方針だ。

 目下の焦点だった住信SBIネット銀行が日立に決めたことで、今後は銀行業に新規参入する企業の勘定系システムの争奪戦に移る。既にLINEとみずほ銀行が2020年度に開業する新銀行は、ソニー銀行などで稼働実績がある富士通製のシステムをベースに勘定系システムを構築している。ふくおかフィナンシャルグループの新銀行「みんなの銀行」は、勘定系システムを自社開発する計画で、ITインフラストラクチャーにグーグル・クラウド・ジャパンを、開発パートナーにアクセンチュアを選んだ。

表 ネット銀行の勘定系システム争奪戦の状況
住信SBIはIBMから日立へ
表 ネット銀行の勘定系システム争奪戦の状況
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 「『トヨタ銀行』だってあり得る」。国内の大手ITベンダーで金融ビジネスを担当する幹部は新規参入組をこう予測する。スマホ時代の勘定系ビジネスの覇権を握るITベンダーはどこか。勝負の時を迎えている。