2019年3月、みずほ銀行がQRコード決済・送金サービスを始めた。QRコード決済が乱立する中、後発で不利とみられがちだが、秘策はある。経費精算や給与の支払いに使える法人向けサービスだ。
「勝算はある。意気込みを持ってリリースしている」。みずほフィナンシャルグループ(FG)の坂井辰史社長は2019年2月20日の記者発表会で、3月1日に始めたQRコード決済サービス「J-Coin Pay(ジェイコインペイ)」についてこう力を込めた。
J-Coin Payは小売店や飲食店などでの支払いに使える。スマートフォンアプリを銀行の預金口座にひも付け、加盟店での決済のほか個人間の送金や受け取りもできる。利用者は預金口座からアプリにチャージし、送金や決済に使える。チャージした電子マネーを無料で預金口座に戻すことも可能だ。
京都銀行や北海道銀行など地方銀行をメインに約60の金融機関と連携。預金口座からのチャージに対応する金融機関を順次拡大する。将来は70機関以上と提携し、アクティブユーザー数650万人以上を目指す。
QRコード決済の分野では、ソフトバンク・ヤフー連合の「PayPay」やLINE子会社の「LINE Pay」などが先行している。後発のみずほ銀は厳しい戦いを迫られるとの見方が多いが、実は秘策がある。法人向けのサービスだ。
企業が社員に交通費などの立て替え分をJ-Coin Payで支払える経費精算支援サービスを2019年夏にも始める。将来の制度改正を見据え、企業が社員の給与などをJ-Coin Payでチャージするサービスも計画する。給与をJ-Coin Payで直接支払えば、社員はチャージの手間が省ける。法人サービスの導入企業が増えれば、需要を見込む加盟店の拡大が期待できる。普及が進めば「経費精算はJ-Coin Payに」と考える企業も増す。こうした相乗効果を狙う。