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「このペースでは残業が月45時間を超えます。注意してください」─。残業時間を自動的に集計し、こうした警告を出すITサービスが相次いでいる。残業時間に上限を設けた4月1日施行の働き方改革関連法に合わせた動きだ。

 2019年4月1日、政府は働き方改革関連法を施行し、労働関連の法律を大幅に改正する。働き方改革の推進が狙いだ。特に企業が注意したい点が残業時間の上限規制だ。違反すれば場合によっては、経営者らが6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金を科されるからだ。

 残業の上限規制のルールは複雑だ。「1カ月当たり45時間」と「1年当たり360時間」の原則があり、「2カ月や3カ月といった複数月の平均が80時間以内」「月45時間を超えて残業ができるのは年6回まで」などの条件が絡む。

 法律違反にならないようにする1つの手は、残業時間の上限規制に対応したITサービスの導入である。セコムトラストシステムズやヒューマンテクノロジーズ、チームスピリットといった勤怠管理クラウドサービスを提供するベンダーや、人事パッケージソフトを手掛ける日立ソリューションズが相次ぎ自社製品を機能強化している。

製品/サービス名(提供元)概要最新版の主な機能強化点価格/利用料(税別)最新版の提供時期
KING OF TIME(ヒューマンテクノロジーズ)勤怠管理やワークフロー管理などの機能を備えるクラウドサービス残業時間の上限を設定すると、上限を超えそうな社員にメールなどで自動通知できるようにした。関連サービスの「KING OF TIME データ分析」で社員や部署ごとに残業時間の上限までの残り時間などをグラフで表示できるようにした1人当たり月300円2019年2月
TeamSpiritシリーズ(チームスピリット)勤怠管理や工数管理、データ分析などの機能を備えるクラウドサービス群働き方改革関連法の規定に沿って残業時間を自動計算できるようにした。しきい値を設定すると、残業時間の上限を超えそうな社員にメールで自動通知したり勤怠データの入力画面などに表示したりできるようにした月3万円(50人利用の場合)2018年11月
セコムあんしん勤怠管理サービス(セコムトラストシステムズ)勤怠管理やワークフロー管理などの機能を備えるクラウドサービス残業時間の複数月平均といった上限規制の項目を自動計算できるようにした。計算結果は勤怠データの入力画面などに表示する。しきい値を設定すると残業時間の上限を超えそうな社員にメールなどで自動通知する基本料金が月3万円、従量料金が1人当たり月200円2019年4月
リシテア(日立ソリューションズ)勤怠管理ソフトや人事データの分析ツールなどから成る人事パッケージソフト群しきい値を設定すると、残業時間の上限を超えそうな社員にメールなどで通知できるようにした。分析ツールの「リシテア/HRダッシュボード」で社員や部署ごとに残業時間の上限に達するまでの残り時間などをグラフで表示できるようにした個別見積もり2019年2月

 各製品に共通するのは2つの機能だ。社員1人ひとりの残業時間を毎日自動的に集計する機能と、残業時間の上限を超えそうになると勤怠データの入力画面やメールなどで本人や上司に自動的に知らせる機能である。

 残業時間の合計が何時間になったら知らせるかは任意で設定できる。上限を超えそうな社員を事前に把握できれば「人事部や上司は残業の多い社員の仕事の負荷を減らすといった策を早期に打てる」(セコムトラストシステムズの天野貴則BC推進部担当部長)。