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 行政機関に限られているマイナンバーを利用した個人情報の名寄せについて、公益性の高い業務で企業が可能にする規制緩和も求めている。例えば証券分野の顧客情報管理機関を創設し、住民基本台帳ネットワークからマイナンバーを含む個人情報を取得して証券会社に通知できるよう提言している。証券会社は個人顧客のマイナンバー収集を義務付けられているが、2017年9月末時点で約38%しか集まっていない。

 経団連の提言に対し、専門家は疑問を呈する。マイナンバー制度の立法担当官だった水町雅子弁護士は氏名などの個人情報と同じように扱えるようにすると「マイナンバーが悪用されるリスクが高くなる」と懸念する。マイナンバーは原則として生涯不変なので「強力な個人識別子」となり、位置情報などあらゆる個人情報がひも付けられる恐れがあるためだ。野村総合研究所(NRI)の梅屋真一郎未来創発センター制度戦略研究室長も「制度への不安が広がるのではないか」と危惧する。

 一方でマイナンバーを利用した個人情報の名寄せを企業にも認める提言について、NRIの梅屋氏は「証券会社だけでなく、保険会社がマイナンバーを使って最新の顧客住所を把握できるようにすれば保険金の不払い防止に役立ち、顧客にもメリットがある」と理解を示す。中立的機関がマイナンバーの取得を仲介すれば「営業活動などにマイナンバーが使われないように工夫もできる」(梅屋氏)と提案する。

 政府は戸籍事務やパスポートの発行、不動産登記などにマイナンバーを利用できるよう検討中だ。利便性と安全性をともに高める議論が必要だ。