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ネットワンシステムズは不正会計に関する外部の調査報告書を公表した。過去の再発防止策は形骸化し、旧態依然とした企業体質が残っていた。2021年4月から経営体制を刷新するが、悪しき体質を本当に変えられるか。

外部調査委員会による報告書は200ページ以上に及んだ
外部調査委員会による報告書は200ページ以上に及んだ
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 「問題が発生した際は隠ぺいが基本」「経営陣のプレッシャーで赤字案件は出せない」「現場はインセンティブを得るためなら手段を選ばない」「社員の競争意識をあおり続け、無理を強いて青天井に成果を上げさせ続けることで営業成績を維持してきた」――。

 2020年に判明した4度目の不正会計を受け、ネットワンシステムズが2021年3月18日に公表した外部調査委員会の報告書には、同社の経営陣や評価制度、企業文化などに対する辛辣な文言が並んだ。いずれも同社の従業員から寄せられたものだ。

 報告書では営業業務の属人化や個人商店化、人事制度の問題点などを指摘。営業部門のインセンティブは個人成績に基づき算出されるという給与体系について、「廃止も射程に入れた検討が求められる」とした。過去に不祥事を繰り返しているにもかかわらず、経営トップが役職員に対してコンプライアンスに関するメッセージをきちんと発していない点なども問題視した。

報告書は「今一歩足りない」

 企業統治や不正会計の問題に詳しい東京霞ヶ関法律事務所の遠藤元一弁護士は同報告書について「一般論はきちんと作られているが、肝心の取締役らが職務を全うしていたかが正確に分析されておらず、報告書としては今一歩足りない。これを受け取った経営陣はさぞかし安堵しただろう」とみる。

 例えば、2019年7月の経営委員会で社外取締役(当時)が特定の案件について循環取引の可能性を指摘していた問題だ。指摘に対し平川慎二取締役は確認もせず、その場で問題ない旨を即答したという。「通常は社外取締役から不正に関する指摘が入ればすぐに調査しきちんと報告する。監査役も取締役も善管注意義務(取締役は会社に対し『善良な管理者の注意』をもって職務を遂行する義務)違反が認められるのではないか。報告書はそこを十分に指摘していない」(遠藤弁護士)。

 加えて、荒井透社長が原価付け替えや架空取引の事実を把握しながら事の重大さを認識していなかったこと、吉野孝行会長について「責任を感じることが全くなく他人事である」と他の取締役に話していたことも明らかになった。「報告書は辞めざるを得ない社長や会長、平川取締役らをスケープゴート(いけにえ)にして辞任してもらい、他の経営陣を守ろうという意図が透けて見える。他の取締役も善管注意義務違反の可能性は高い」(遠藤弁護士)。

 ネットワンは2021年3月19日、経営体制の刷新を発表した。4月1日付で竹下隆史取締役執行役員が社長に就任し、荒井社長や吉野会長、平川取締役らは辞任する。一連の不祥事の原因が経営陣にあると判断し、責任をとった格好だ。同社は旧態依然の体質と決別し、本当に変われるのか。新社長の手腕が早々に問われる。