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4月1日、みずほフィナンシャルグループのグループCIOが7年ぶりに代わった。新任の石井哲氏はデジタル分野を兼務する。全面稼働のめどが立った勘定系システムを攻めに生かせるか。
みずほフィナンシャルグループ(FG)は2019年4月1日、元みずほ銀行専務執行役員の石井哲氏を執行役専務に起用し、グループCIO(最高情報責任者)相当のIT・システムグループ長に任命した。グループCIOを7年務めた元執行役副社長の安部大作氏は特命事項担当の副会長執行役員に就いた。
なぜこのタイミングでグループCIOを代えたのか。理由は2つありそうだ。
一つは新しい勘定系システム「MINORI」の全面稼働のめどが立ったからだ。みずほFGは2018年6月から全9回に分けて新システムへのデータ移行を進めており、既に8回目までを終えた。残すはみずほ信託銀行の勘定系システム「BEST」のデータを対象とする2019年7月の第9回のみだ。
みずほFGは2019年3月、全面稼働を4カ月後に控えるなか、新システムなどを対象に約5000億円を減損処理すると発表した。新システム関連の「重荷」を一気に吐き出す狙いだ。
巨額の減損処理により、2020年3月期以降の新システムに関する財務負担は一気に軽くなる。当初は5~10年かけて年数百億円を計上する計画だった。「構造改革を前倒しで実行し、後年度の負担を一気に解消する」(みずほFGの坂井辰史社長)。石井氏は重荷にとらわれず、攻めのIT投資をしやすくなった。