全1237文字
PR

三井住友銀行がRPAの導入支援会社を設立し4月から営業を始める。160万時間分の業務の自動化に成功した同行のノウハウを提供する。顧客の業務改善にまで踏み込んで成長を促し、銀行として取引拡大を狙う。

 三井住友銀行と持ち株会社の三井住友フィナンシャルグループは2019年2月に新会社、SMBCバリュークリエーションを設立した。資本金は9億9000万円(資本準備金を含む)で三井住友銀行が全額出資した。

図 三井住友銀行がRPAなどの導入を支援する新会社を設立するまでの経緯
図 三井住友銀行がRPAなどの導入を支援する新会社を設立するまでの経緯
新会社で生産性向上を後押し
[画像のクリックで拡大表示]

 SMBCバリュークリエーションは企業の競争力強化などを支援する。目玉はPCによる定型業務を自動にするRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入サポートだ。生産性の向上策を導き出すコンサルティングサービスとともに提供する。AI(人工知能)を組み込んだOCR(光学的文字認識)なども活用し、紙の文書をデータにするサービスなども手掛ける。

 三井住友銀行が新会社を設立した背景には、同行自らRPAを導入して成果を上げた実績がある。2年前に「新規事業など付加価値の高い仕事ができるよう、行員に仕事の余力をもたらす」との目標を掲げてRPAの導入を始めた。外部からITコンサルタントなど150人を招いて導入支援組織を立ち上げたり、行員にRPA研修をしたりと多角的な施策を講じた。結果、2018年9月までに約1000体のソフトロボットを稼働させ、160万時間分の作業の自動化を果たした。

130社以上から問い合わせ

 RPAを導入して1年半でこれだけの成果を上げた企業は珍しい。その実績に注目が集まり、三井住友銀行は130社以上の顧客企業からRPAの導入について問い合わせを受け、潜在的なニーズに気づいた。新会社の山本慶社長は「これまで培ってきた生産性向上の手法や経験を広く提供していく」と意気込む。山本社長は同行でRPA導入プロジェクトのリーダーを務めた。

新会社の山本慶社長
新会社の山本慶社長
[画像のクリックで拡大表示]

 例えば同行は営業担当者が顧客向けに毎朝作成していた金融商品の運用リポートについて、RPAによる自動作成に変えた。余力が生まれた営業担当者は新しい金融商品の提案を検討したり、顧客への訪問件数を増やしたりできるようになった。

 こうした経験を踏まえ、新会社は顧客企業に余力をもたらし、付加価値の高い事業に多くの時間を割いてもらえるような支援を目指す。顧客企業の業務改善にまで踏み込んで成長を促し、銀行として取引拡大を狙う。FinTechの勃興など銀行を取り巻く環境が激変するなか、自らデジタル技術を担いで新たな事業に乗り出した格好だ。

 新会社は当初15人の体制でスタートする。三井住友銀行のRPA導入などを支援してきたPwCコンサルティングをはじめとするコンサルティング会社や、RPAツールベンダーである米ユーアイパスの日本法人などと連携して事業を進める。売り上げ目標などは公表していない。山本社長は「顧客企業の現場担当者が人にしかできない仕事に専念できるよう、RPAをはじめとするデジタル技術の導入を支援していきたい」と語る。