東京都が新型コロナウイルス対策としてテレワーク助成を始めた。東京都内の従業員999人以下の中堅・中小企業が対象だ。機器やソフトウエアの費用を最大250万円まで全額助成する。
東京都が2020年3月5日に打ち出した「事業継続緊急対策(テレワーク)助成金(以下、テレワーク助成金)」が注目を集めている。テレワーク導入などで必要となる機器やソフトウエアの費用を助成するもの。注目度が高い理由は、250万円までであれば全額助成するという助成率の高さにある。
東京都はこれまでもテレワーク助成金を設けていたが、ソフトや機器の助成率は50%にとどまっていた。
助成金の受付先である東京しごと財団によると、これまでに「想定以上の応募がある」という。東京都は当初、100件程度の助成を想定していたが、予算を上回る応募があるため枠を拡大できないか検討中という。
ソフトや機器は「消耗品」を助成
テレワーク助成金は助成対象となる科目などが細かく決まっている。助成対象の科目として「消耗品費」「委託費」「賃借料」「使用料」と明記。それぞれの科目に明確な規定がある。「ITの知見を持った専門家の意見を聞きながら、テレワークを始めるのに必要最低限の機器などを対象にした」と東京都しごと財団の担当者は話す。
消耗品の場合、「税込み単価1000円以上、10万円未満」と金額を決めたうえで、助成対象となる機器やソフトウエアなど18種類を挙げている。端末はパソコンやタブレット、スマートフォン、携帯電話など。ネットワーク機器はVPN(仮想私設網)ルーターやファイアウオール、無線LANなどだ。プリンターやスキャナーといった周辺機器のほか、Web会議用のカメラやヘッドセット、のぞき見防止フィルムなども対象となっている。
委託費は機器の設置・設定費をはじめ、保守委託などの業務委託料、導入時の運用サポート費などが含まれる。ただしシステムの開発や改修、構築費用は助成の対象外だ。賃借料は消耗品で指定した機器をリースする際のリース費が対象となり、レンタル料は対象外である。
使用料はクラウドサービスなどの利用料を指し、初期費用も含まれる。消耗品と同様、クラウドサービスにも細かい規定があり、Web会議やチャット、データ共有などのコミュニケーションツール、勤怠や在籍、業務などの管理ツール、業務ソフト、セキュリティーソフト、リモートアクセスツール、グループウエアの利用料が対象だ。