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 FinTechの新サービスによって社内預金が様変わりする。成果を挙げた従業員の金利を高めにしてやる気を引き出せる。人材不足や採用難が続くなか、福利厚生の新たな形として注目を集めそうだ。

 企業が従業員から預金を集めて金利を付ける「社内預金」の運用を支援する新たなサービスが2018年秋にも登場することが、日経コンピュータの取材で分かった。システム開発会社のebsが提供する。銀行の預金と同じようにスマートフォンで残高を確認したり、ATMで現金を出し入れしたりできるほか、成果を挙げた従業員の金利を上乗せするなどして、従業員の士気を高める目的にも使える。

 社内預金とは企業が福利厚生の一環として従業員の貯蓄金を管理する制度だ。労働基準法によって認められている。労使協定を結ぶなど一定の条件を満たしたうえで、預金に利子を付けたり、低利で融資をしたりする。

 企業にとってはシステム導入費や負担した金利、各種手数料などを損金として処理できるため、税負担を減らせる利点がある。従業員にとっても好条件で預金をしたり、短い審査期間ですぐにお金を借りたりできる便利な仕組みと言える。

 にも関わらず、従業員の利用がほとんど進んでいない企業が多かった。紙の書類を提出しないとお金を引き出せないといった不便さがあったためだ。

今秋の提供に向け地銀と実証実験

 ebsが提供を計画する新サービスは、導入企業の従業員が手持ちのスマホで手軽に残高を確認したり、キャッシュカードを使って銀行のATMで出し入れしたりできるようにする。提携先の銀行のシステムとスマホアプリをAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)でつないで実現する。

図 ebsが提供する社内預金サービスの仕組み
図 ebsが提供する社内預金サービスの仕組み
銀行と連携して使いやすく
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 人事制度などと連動させて「好成績を上げた社員の利率を高める」といった施策もできるようにした。従業員のやる気を引き出しやすくなる。ebsは顧客企業の要望に応じて、オンプレミスかクラウドサービスとして提供するか決める方針だ。

 ebsは今秋のサービス提供を目指し、このほど地方銀行と組んで実証実験を始めた。まず自社の従業員を対象に、最低1%の預金金利を保証したうえで、経常利益の伸び率や役職、人事評価によって最大2%を上乗せする。将来的には預金だけでなく、融資や投資信託にもこうした仕組みを拡大する意向。現在、ビジネス特許を出願中だ。

 景気回復を受けて雇用環境は良好だ。2018年2月の完全失業率は2.5%と完全雇用に近い状態で、小売りや外食業界を中心に人手不足は深刻だ。

 人手の確保に向けて、基本給を一律で引き上げるベースアップは有効な手段だが、景気後退局面では重荷になりかねない。FinTechを活用し、リスクを抑えながら従業員への還元を手厚くできる施策は、福利厚生の有力な選択肢になる可能性がある。