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静岡銀行は構築中の新勘定系システムの稼働を1年以上遅らせる。制度変更への対応に加え、新旧データの変換要件が膨らんだためだ。延期は今回で2度目。地銀の雄は刷新を成し遂げられるか。

 静岡銀行と日立製作所がLinuxベースの新勘定系の開発プロジェクトを始めたのは2014年に遡る。金融商品の手数料などをパラメーターで設定できるようにし、新たな商品を素早く投入できる体制を整えるのが目的だった。

 富士通のメインフレーム上に構築した現在の勘定系システムを置き換えて、当初は2017年中の稼働を目指した。日立は新システムをパッケージ化して外販する考えだった。

 だがプロジェクトは最初からつまずいた。業務分析や現行システムの解析などに想定以上の工数を要した結果、2015年11月に稼働時期を2019年1月へと1年以上遅らせると発表した。

 2度目の延期を発表したのは2018年4月。2017年11月から進めていたシステム間結合テストの工程判定が2つの理由で完了の判定に至らなかった。

 一つは、既存の情報系システムと新勘定系を接続するインタフェースの仕様が想定以上に膨らんだこと。静岡銀の鈴木統也次世代システム部長は「新旧でデータベース構造が異なるため、情報系と接続する際にはデータ変換が必要。このインタフェースの要件が増えた」と説明する。

 もう一つは2018年10月にサービスが始まる全銀システムの24時間化への対応である。早期に24時間化に対応するには、まず現行システムで接続テストを実施し、続いて新システムでも同様にテストする必要があった。だが同じ銀行が立て続けにテストをする計画に、全銀側が難色を示したという。

図 静岡銀行の新勘定系システムの構築スケジュール
図 静岡銀行の新勘定系システムの構築スケジュール
稼働は2年以上遅れる
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現行機の運用費も負担に

 2度の延期により静岡銀が負担する総開発費は約20億円増えて335億円に達する見込みだ。1度目の延期に合わせて2017年に更新した富士通製メインフレームの運用期間もさらに延び、その運用保守費も負担になってくる。現行システムは当面、新元号や休眠預金活用法などの制度対応を新システムと並行して実施するという。

 静岡銀の鈴木部長は「難しいプロジェクトであると承知しているが必ずやり切る」と決意を語る。グループ会社を含め約320人のシステム部員に刷新を経験させ、自前でシステムを管理する体制を確立する。刷新で約400個の金融商品のうち約100個を、約1500枚の帳票のうち約650枚を減らして開発費を抑制。オープン化の効果と合わせて、運用費などシステム全体の経費を年間30億円減らせると見込む。

 パッケージの外販を目指す日立も2度目の遅延でコスト増を強いられそうだ。「既に採用を決めた京葉銀行のほか、もう1行が採用予定」(日立)というが販売実績が想定を下回れば巨額の損失を負うことになりかねない。

 日立は静岡銀向けとは別に、基幹ミドルウエアが共通するLinuxベースの次期勘定系を肥後銀行と開発中で2019年5月の稼働を目指している。静岡銀の延期により、肥後銀のほうが先行して稼働しそうだ。