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政府が新型コロナウイルス対策でITの活用を積極的に進めている。その重要な役割を担うのが、2020年4月6日発足の「テックチーム」だ。平将明内閣府副大臣に取り組みの現状と今後の展望を聞いた。

 新型コロナ対策の強化に向け、政府がITの活用に力を入れている。厚生労働省は感染者の情報を一元管理するシステムを2020年5月中を目標に稼働させる。スマートフォンの「Bluetooth」機能を使い、感染者と濃厚接触した可能性を通知する「接触確認アプリ」も6月中に公開予定だ。

 これらIT活用で重要な役割を担うのが、4月6日に発足した政府の「新型コロナウイルス感染症対策テックチーム」だ。内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室やIT総合戦略室、厚労省、総務省、経済産業省など関係省庁と連携。民間企業の協力も得ながらITの活用を検討し、早期の開発や導入を図る。「新型コロナ対策のIT活用について海外の状況や様々なアイデアを検討・評価し、厚労省などにつなぐパイプ役」(テックチームの立ち上げを発案して事務局長を務める平将明内閣府副大臣)となっている。

写真 新型コロナウイルス感染症対策テックチームの事務局長を務める平将明内閣府副大臣
写真 新型コロナウイルス感染症対策テックチームの事務局長を務める平将明内閣府副大臣
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アプリで個人は特定できない

 政府は5月8日、テックチームの会合で厚労省が接触確認アプリを開発・実装・運用することを明確にした。スマホOSで寡占的な地位を占める米アップルと米グーグルが5月4日にアプリ開発を保健機関に限るとの方針を示したためだ。

 これまでテックチームが主体となって、コード・フォー・ジャパンや楽天など複数の民間事業者と接触確認アプリの開発や導入に向けた議論を進めてきた。アプリの技術仕様やプライバシー保護の妥当性を検討する有識者会議も設置し、5月9日に第1回会合を開いた。「論点整理や技術開発はほぼ終わり、どんな“生態系”で運用していくかはだいたい固まった。今後は厚労省が主体となるが、テックチームも引き続きサポートしていく」(平副大臣)。

 現在検討中の接触確認アプリのイメージはこうだ。濃厚接触の記録は全てスマホのアプリで管理する。通常時は他のスマホと一定時間接近したのをBluetoothで検知し、そのタイミングで相手の識別子を記録。識別子は個人とひも付いておらず定期的に変更するもので、記録してから一定期間が過ぎると順次削除する。「最低限の情報しか収集せず個人は特定できない」(同)。利用者にどのような基準で通知するかは厚労省クラスター対策班の定義を基に今後整理し、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)公開も検討する。

 厚労省は感染者把握・管理支援システムを開発中で、アプリの利用者が医療機関の検査を受けて陽性と判明した場合は保健所が同システムに陽性者として登録。陽性者は保健所の通知を受け、自らが陽性者であるとアプリ上で入力する。この際、いたずら防止のため、陽性者にはアプリ上で入力する暗証番号も一緒に渡す方向だ。陽性者が入力するかどうかは「今までの議論で言えば本人次第だ」(同)。

 陽性者がアプリ上で入力すると、陽性者とBluetoothで通信履歴があるアプリユーザーにアラートを通知する。誰との通信に基づいてアラートを出したのかは接触者に分からない仕組みだ。通知を受けた接触者は陽性者と接触した疑いがあることを厚労省のシステムに登録する。登録の可否も本人が選択できる。