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新型コロナウイルス対策のため「バーチャル株主総会」が注目を集めている。株主はネットを通じて遠隔で出席でき、「3密」の状態を回避できる。ただ株主のサポートなど準備が必要で6月の総会に間に合わない恐れもある。

 2020年4月下旬、ITベンダーのブイキューブとアステリアが共同で「バーチャル(仮想)株主総会」をテーマにしたオンラインセミナーを開催した。上場企業の株主総会担当者ら200人以上が視聴したという。

写真 「バーチャル株主総会」として2020年3月に開催したブイキューブの定時株主総会
写真 「バーチャル株主総会」として2020年3月に開催したブイキューブの定時株主総会
(写真提供:ブイキューブ)
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 バーチャル株主総会とはインターネットを介して出席できる株主総会を指す。株主はオンラインで議事を視聴したり、チャットで質問を送ったり、ネット投票で議決権を行使したりする。

 株主総会には株主が全国から集まる。1000人規模の株主が集まる大型総会もあり、「3密」の状態が生まれやすい。2020年6月には日本で多数を占める3月期決算企業の定時株主総会が控える。経済産業省と法務省は4月2日に「株主総会運営に係るQ&A」という文書を出し、株主の入場を制限したり、来場を全面的に断って「無観客」で開いたりすることを事実上容認した。

 しかし企業側だけで株主総会を開催すれば株主の理解を得にくい。そこでネット経由で出席できるバーチャル株主総会が注目を集めている。

オンラインで議決権を行使

 バーチャル株主総会はオンライン生中継と電子投票の2つが大きな柱だ。ブイキューブが生中継を、アステリアが電子投票を担う形で協業する。

 ブイキューブは上場以来、毎年の株主総会を自社ツールでオンライン生中継している。2020年3月の株主総会の来場者は会場が14人に対し、オンラインが120人だった。この実績を基にサービス提供の拡大を図る。

 一方、アステリアは「ブロックチェーン議決権行使」という仕組みを提供する。一般に株主は事前に郵送かネットで議案への賛否を投票するか、当日の株主総会会場で投票する形で議決権を行使できる。

 事前投票だけなら信託銀行などが既に提供している仕組みで運用できる。しかし会場に行かずオンライン生中継を視聴する株主は企業側の説明を聞いたうえで投票することはできない。

 アステリアの仕組みなら当日の中継内容を視聴したうえで投票できる。改ざん防止のため、ブロックチェーンの技術を活用する。アステリアは2019年6月に開催した自社の株主総会でこの仕組みを取り入れた。

 ブイキューブとアステリアはこれらのツールや技術を組み合わせたバーチャル株主総会を提案している。ただ、6月の株主総会まで残された時間はわずかだ。

 バーチャル株主総会は失敗が許されない。会場に機材を設置し動作確認したり、議決権行使のため株主にIDとパスワードを配布したりする必要がある。個人株主には高齢者が多く、操作方法などのサポートも重要になる。企業によってはバーチャル株主総会が間に合わず、例年通り会場に株主が集まり混乱する懸念もある。