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 富士通コネクテッドテクノロジーズが5月に小型翻訳機を発売した。東京オリンピックに向け、訪日外国人への接客といった法人需要を狙う。圧倒的なシェアを持つソースネクストのポケトークに挑む。

 話した言葉をクラウドで翻訳して読み上げる「小型翻訳機」の市場に富士通グループが参入した。

 携帯端末の設計・開発・製造・販売を手掛ける富士通コネクテッドテクノロジーズ(FCNT)は2019年5月23日、「arrows hello」を発売した。中国大手ポータルサイトを運営するネットイースの子会社、中国ユー・ダウの翻訳エンジンを採用。日本語、英語、中国語(簡体字)、中国語(繁体字)、韓国語、フランス語、ドイツ語など28言語に対応する。価格はオープンで、市場想定価格は税別2万9800円である。

写真 富士通コネクテッドテクノロジーズ の小型翻訳機「arrows hello」
写真 富士通コネクテッドテクノロジーズ の小型翻訳機「arrows hello」
ポケトークの牙城を崩せるか (写真:スタジオキャスパー)
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 小型翻訳機の市場はソースネクストの「POCKETALK(ポケトーク)W」シリーズが96%のシェアを持つ(2019年4月のBCN総研の調査)。FCNTはポケトークの牙城を崩すために、機能と販売戦略の両面で独自性を打ち出す。

オフライン翻訳を可能に

 機能については「オフライン翻訳」と「カメラ翻訳」が可能である。どちらもポケトーク Wには無い機能だという。

 オフライン翻訳は本体がインターネットにつながっていなくても翻訳できる機能だ。ただし日本語と英語、日本語と中国語(簡体字)の双方向の翻訳に限られる。本体内蔵の語彙データを使うのでオンライン翻訳に比べ精度が下がる可能性もある。

 カメラ翻訳は本体背面のカメラで撮った画像内の文字を翻訳する機能だ。飲食店のメニューなどを撮影すると、翻訳結果が画像に重ねて表示される。

 インターネットにつなげたオンライン状態なら、カメラ翻訳は21種類の言語に対応する。オフラインでも日本語と英語、日本語と中国語(簡体字)の双方向の翻訳が可能だ。

 一方、ポケトーク Wに軍配が上がる機能もある。例えばポケトーク Wは内蔵SIMによるデータ通信機能を備えるがarrows helloには無い。arrows helloではモバイルルーターやWi-Fiのような通信手段を用意できない場合、オフライン翻訳にする必要がある。

 また、オンライン翻訳で対応する言語数の28種類は、ポケトーク Wの74種類の半分に満たない。機能面でポケトーク Wに差を付けたとは言い難い。

 むしろ差を付けられる可能性があるのは販売戦略だ。FCNTは個人向けだけでなく法人向けの販売にも力を入れる。2020年の東京オリンピックに向けて訪日外国人に対応するための小型翻訳機の法人需要が本格化すると見込んでおり、ドラッグストアをはじめとする商業施設やタクシー会社などへの導入を想定している。

 「訪日外国人への接客に苦慮している法人顧客に対して、富士通の関係会社と連携し、積極的にアプローチしていきたい」(FCNT)としている。

 富士通グループの参入により、小型翻訳機の市場が一段と活気付きそうだ。