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米フェイスブックが独自のデジタル通貨「リブラ」を発表した。安全性を保つ仕組みを考えているが、それでも米議会が待ったをかけた。背景にはフェイスブックそのものに対する不信感がある。

 米フェイスブックは今年6月18日、独自のデジタル通貨「Libra(リブラ)」による決済などの金融サービスを2020年に始めると発表した。FacebookやInstagramなど世界で約27億人が利用する同社のSNSと組み合わせて、リブラによる新たな経済圏の確立を目指す。

図 リブラの公式サイト
図 リブラの公式サイト
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 リブラはドルやユーロといった法定通貨に連動する「ステーブルコイン」であり、発行額と同じ資産の裏付けを持たせる。10ドル相当のリブラを発行するには、利用者から10ドルを預かり確実に保全する必要がある。

 そこでフェイスブックはリブラの発行組織と資産保全の組織を分ける。発行組織として、スイス・ジュネーブにリブラ協会を設立する。同協会にはフェイスブックに加え米マスターカードや米ビザといったクレジットカード会社、ネットオークションの米イーベイなど約30の企業・団体が参加する。

 リブラ協会が利用者から預かったキャッシュは外部の信託機関に預ける。この信託機関を定期的に監査して利用者資産の保全やリブラ発行額と同額の資産の裏付けをチェックする。

 詐欺などの不正行為については、AI(人工知能)などを活用したシステムで常に監視する。クレジットカードのように、不正な決済があれば補償などで対応していくとみられる。

 こうした安全性確保の仕組みが考えられているリブラだが、先行きには早くも暗雲が垂れ込めている。

 米下院金融委員会のマキシン・ウオーターズ委員長は、フェイスブックがユーザーのプライバシー保護に関して何度も失策を重ねてきた点を問題視。リブラが発表されたその日にすかさずフェイスブックに対して議会や規制当局が内容を精査し対応するまで開発を中断するよう求める声明を発表した。声明ではフェイスブックの問題点を次のように列挙している。

 「フェイスブックは数十億人のデータを保有しながら、そのデータを慎重に使用したり保護したりする配慮を何度も怠ってきた。ロシアの情報機関や国際的な人身売買組織などが設けた、悪意ある偽アカウントが米国市民に接触するのを放置してきた。ユーザーをだまし消費者のデータのプライバシー保護を怠ったとして米連邦取引委員会(FTC)から巨額の罰金を科されただけでなく、米住宅当局から同社の広告プラットフォームが公正住宅法に違反するとして提訴されている」。

図 マーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)
図 マーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)
デジタル通貨「リブラ」を発表
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 マーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)は2018年、ユーザーのプライバシー保護に関して米議会に呼び出され議員から質問の集中砲火を浴びた。リブラの事業でも同じ姿が見られるかもしれない。米議会や米世論の目は、ザッカーバーグCEOの予想以上に厳しいようだ。