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新型コロナ禍のような非常事態でも1兆円の営業利益を出せる会社に――。日立製作所の小島啓二社長兼COO(最高執行責任者)はこう決意を述べた。1兆円で買収した米企業などをテコに、世界規模での成長を目指す。

写真 日立製作所の小島啓二社長兼COO
写真 日立製作所の小島啓二社長兼COO
Lumada事業をさらに拡大
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 小島氏は2021年6月23日、社長に就任した。日立はリーマン・ショック後の2009年3月期、当時製造業で過去最大となる7873億円の連結最終赤字を計上した。小島氏はそれ以降の事業構造改革で「成長の基盤ができた」と説明。そのうえで「成長をドライブすることが自分の(トップとしての)役割だ」と話した。

 事業構造改革の道筋を付けたのが2021年6月27日に死去した中西宏明氏だ。中西氏は同社の社長、会長を歴任。2018年からは日本経済団体連合会(経団連)の会長を務めた。小島社長は中西氏らが敷いた成長軌道をさらに発展させる役割を負う。

 社長就任に先駆けて、小島氏は2021年6月8日に開いた機関投資家向け説明会で、2026年3月期までに連結の調整後営業利益を1兆円超(2021年3月期は4951億円)に増やす方針を掲げた。小島氏は目標の真意を問われ、「逆境でも揺るがずに1兆円の利益を出す会社をつくる。これが(東原敏昭会長兼CEO=最高経営責任者から)受け取ったバトンだ」と力を込めた。

 目標達成のけん引役と位置付けるのがIoT(インターネット・オブ・シングズ)関連のLumada事業だ。小島氏自身、日立が2016年にLumada事業を始めた時の責任者で、「Lumadaの生みの親」といえる存在。今度は日立の社長として、Lumada事業を引っ張る。

買収した米社を核に海外展開

 Lumada事業の課題はグローバルの事業基盤の弱さだ。これを補うため、2021年7月に約1兆円を投じて米IT企業グローバルロジックを買収した。同社を核にしたLumada事業の海外展開を、「北米とインドのラインでマネジメントする」とした。

 グローバルロジックは顧客との協創を進める「デザインスタジオ」を世界8カ所に展開する。同社のリソースと日立の人材や技術などを掛け合わせ、2021年3月期で3割程度にとどまるLumada事業の売上収益(売上高に相当)に占める海外比率を引き上げる。

 今や日立の大黒柱といえるITセクターに関しては、これまでは顧客企業の業務改革の支援が中心で、「製品を革新するIT部隊はいなかった」と語った。グローバルロジックは「デザインシンキング」に精通したメンバーを多く抱えており、「製品を開発する会社に出向き、デジタル技術でイノベーションを起こせる」と期待を寄せた。

 小島氏は研究開発畑を長く歩み、CTO(最高技術責任者)も務めた。日立は今後3年間で研究開発投資に累計1兆5000億円を投じる考えを明らかにしている。今後はスタートアップ企業や大学と連携しつつも、「自分の力で起こすイノベーションを成長のコアにしたい」と強調した。