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リモート・デスクトップ・サービスの利用者が急増している。急ぎテレワークを始めるに当たり、安価ですぐに使える点が評価された格好だ。サービス提供各社は使い勝手とセキュリティーの両面を高めている。

 新型コロナウイルス対策として多くの企業がテレワークに取り組むなか、リモート・デスクトップ・サービスの注目度が高まっている。社内のパソコンと自宅などにあるパソコンをインターネット経由でつなぎ、自宅パソコンから遠隔で社内パソコンを操作できるようにするサービスである。

 提供各社によると利用者が急増している。「問い合わせや契約の件数は約10倍に増え、急ぎサービス提供用のネットワーク帯域を10倍に拡張した」(NTTテクノクロス)。「2020年5月の利用者は同年1月の数十倍に増えた」(韓国アールサポートの日本法人)。

 社外から社内ネットワークにアクセスする技術にはVDI(仮想デスクトップ環境)やVPN(仮想私設網)もある。なぜリモート・デスクトップ・サービスに注目が集まっているのか。

 一般に企業がテレワークを導入する場合、まず社外から社内への接続方式やツールを選定し、その後に検証や導入の手順を決める。しかし「テレワークの緊急導入ではそうした手順を踏む余裕がなかった。リモート・デスクトップ・サービスは簡単な設定ですぐに使えることから、注目が集まったのではないか」(NTTテクノクロス)。

 サービスを使い始めるには、自宅パソコンと社内パソコンの両方に専用ソフトをインストールして設定し、各サービス専用のクラウドを経由して接続すればよい。社内に専用サーバーを導入するといった手間がなく、1ユーザー当たりの月額利用料は1000円前後と手ごろだ。「VDIやVPNは新規導入コストがかさむほか、同時接続ユーザーが多いと性能が低下しやすい課題がある」(アールサポート日本法人)。

マルチモニターを自宅でも

 提供各社は使い勝手の向上や、セキュリティー機能の強化に取り組み、しのぎを削っている。アールサポート日本法人は2020年4月からリモート・デスクトップ・サービス「RemoteView」において、自宅パソコンにインストールするソフトに「改善型ビューア」を加えて遠隔での操作性を高めた。

表 主要なリモート・デスクトップ・サービス
使い勝手の向上やセキュリティー機能の強化が相次ぐ
表 主要なリモート・デスクトップ・サービス
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 リモート・デスクトップ・サービスを使うと、ネットワーク環境によっては自宅パソコンに映る社内パソコンのデスクトップ画面の動きが一瞬止まっているように見える。改善型ビューアは会社パソコンから自宅パソコンに送るデスクトップ画面について、1秒当たりの画像数を従来の「標準ビューア」より増やした。その一方で動画データの圧縮変換方式をH.264に変更して通信量は30%以上減らしたという。

 「Splashtop Business」を提供する米スプラッシュトップも使い勝手を向上させている。2019年5月から提供している高機能版サービス「Splashtop Business Pro」で「マルチtoマルチモニター」と呼ぶ機能を新たに追加した。

図 「Splashtop Business Pro」のマルチモニター表示機能
図 「Splashtop Business Pro」のマルチモニター表示機能
会社の外付けディスプレーも自宅で表示(出所:スプラッシュトップ日本法人の資料を基に日経コンピュータが作成)
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 同機能は会社と自宅の両方でパソコンに外付けディスプレーをつないでいる場合に使う。会社パソコンの画面を自宅パソコンに、会社の外付けディスプレーの画面を自宅の外付けディスプレーにそれぞれ投影する。

 「映像制作やグラフィックデザイン、CAD(コンピューターによる設計)といったクリエーティブ系やシステム開発系の顧客が利用している」とスプラッシュトップ日本法人の鈴木淳平セールスマーケティングマネージャーは話す。通常版のSplashtop Businessは会社パソコンの画面と外付けディスプレーの画面を、自宅パソコンの1つの画面にまとめて表示する。