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富士通の国内事業を担う中核子会社が2020年10月1日に始動する。自治体や中堅・中小企業向けなどの事業を再編。1万人超が集結予定だ。「富士通Japan」の大看板には、さっそく収益目標の重圧がのしかかる。

 富士通は2020年3月、自治体、医療機関、教育機関を担当するビジネス部門と富士通マーケティングを統合した新会社を、2020年7月に発足させると発表していた。しかし新型コロナウイルス感染拡大による自治体や医療機関の影響を考慮し、統合を延期していた。

 再編・統合は2段階で進める。1段階目として2020年10月に準大手・中堅・中小向け企業事業を手掛ける富士通マーケティングと、流通やヘルスケア、自治体向け事業を担う富士通エフ・アイ・ピーを統合し、富士通Japanを始動させる。この時点で富士通本体のSE部隊400人も合流する。

 2段階目は2021年4月だ。自治体や医療機関、教育機関を担当する営業やSEから成る富士通本体の事業部門を富士通Japanに移す。合わせて4月には運用・保守サービスを手掛ける富士通エフサスとネットワーク事業を手掛ける富士通ネットワークソリューションズについて、それぞれの営業部門を富士通Japanに統合する。

図 富士通Japanに再編・統合する企業や組織
図 富士通Japanに再編・統合する企業や組織
2段階で進行
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ワン富士通で日本一を確立

 2020年10月の富士通Japan発足時の社員数は5400人の見込み。さらに発足半年後の2021年4月には2倍以上となる1万1000人に増強。営業からシステム構築、パッケージの開発、運用まで一貫した事業体制をつくる。

 富士通Japanの社長には富士通マーケティングの広瀬敏男社長が、会長には富士通の田中達也前社長(現富士通マーケティング会長)がそれぞれ就く。

 「ワン富士通の体制で、国内ITサービス市場ナンバーワンの地位を確立する」。富士通の国内事業であるJAPANリージョン部門長を務める窪田雅己執行役員専務は、富士通Japanの位置付けをこう説明する。

 再編・統合により、国内の中堅・中小企業や自治体向け事業は富士通Japan、大企業やメガバンク、中央省庁、通信事業者は富士通本体という役割分担が明確になる。現在は富士通Japanが担う分野をグループ各社が分散して担当しており、「同じビルに各社の支店が入るなど重複が多く、顧客に分かりにくい面がある」(窪田執行役員専務)。

 富士通Japan発足を機に営業スタイルの見直しも進める。Web会議や情報共有クラウドサービスなどの「デジタルツールを活用した営業スタイルを率先して実践する」(同)。

 コロナ危機を境に顧客の元を訪問する従来型の営業は難しくなった。富士通自身がデジタルを活用した営業活動に取り組み、顧客への提案にもつなげる。道具を変えると同時に「顧客の業務へより深く入り込み、デジタルを駆使した業務改革を支援する」と窪田執行役員専務は意気込む。

 窪田執行役員専務は地方銀行や信用金庫といった地域の金融機関向け事業についても「大きな流れとしては富士通Japanに統合する方向で検討している」と明かす。

JAPANリージョン部門長の窪田雅己執行役員専務(写真:村田 和聡)
JAPANリージョン部門長の窪田雅己執行役員専務(写真:村田 和聡)
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 ただ、地銀はクラウドを使った勘定系システムの刷新やグループ再編、地域振興事業の強化、コロナ危機への対応と立て続けに変化に見舞われている。富士通は地銀の業界全体の変化を見極めたうえで、同事業の位置付けを見直す考えだ。

 「新会社の社名は、やはりJapanだよね」。様々な社名案が出た中で、富士通の時田隆仁社長は富士通Japanという案を推していた。時田社長の新会社への思い入れはひときわ強い。それもそのはず。富士通Japanの事業規模は約1兆円。売上高2兆円規模の富士通の国内事業を支える中核会社と位置づける。