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青山商事がお悩み相談AI(人工知能)チャットボットの提供を始めた。ビジネススーツの主顧客である若手社会人が抱える課題の発掘が狙いだ。聞き上手という「よしこ」ママは、新サービス・商品開発のヒントも聞き出せるか。

写真 青山商事がWebサイトで公開した、スナックママを模したAIチャットボット「よしこ」
写真 青山商事がWebサイトで公開した、スナックママを模したAIチャットボット「よしこ」
(画像出所:青山商事)
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 「いまあなたが抱えているいろいろな悩みを入力してみてね」――。同社Webサイトで2021年7月7日から語りかけているのは、手掛けるAI(人工知能)スナックママ「よしこ」だ。

 本業のビジネススーツと一見無関係なAIチャットボットによる悩み相談を、同社があえて活用したのは理由がある。軽い内容も含めて幅広い悩みを収集し、市場調査で得られないターゲット顧客層の課題を知るためだ。

 その狙いを徹底すべく、同社がモデルに選んだのはスナックのママ。人間味があり、かつ悩みを相談しやすい距離感との判断だ。名前も「青山」と関連づけなかった。ときどき的を射ないアドバイスを行う「聞き下手なママ」を登場させる遊び心を取り入れた。

 悩み相談はフリーワード入力のほか、「人間関係」「職場環境」「将来」「生活環境」「モチベーション」「悩みがない」というリストから選択できる。例えば「人間関係」を選ぶと、上司や同期、家族や恋人などさらに選択肢を提示。選択を繰り返すと最終的によしこママがアドバイスをくれる仕組みだ。「選択肢を用意することで、悩みをすぐ言語化できない人からも気になるポイントを引き出しやすい」(平松葉月リブランディング推進室副室長)。

 最初に表示されるリストで利用者が「悩みがない」を選択すると、よしこママが「洋服の青山について知りたいこととか、何かお願いしたいことはある?」と逆質問。開催してほしいイベント、商品開発、店舗やEC(電子商取引)サイトなど、同社への意見を聞く。フリーワード入力、リスト選択のどちらも回答を集計のうえ、数値を含むリポートとして抽出し分析する予定だ。

実在ママたちの回答を機械学習

 AIチャットボットはWebなどのソフト開発を手掛ける空色の「WhatYa(ワチャ)」を採用した。WhatYaはAIに応対者としてのペルソナを設定し、言葉遣いや応対する文章構成に反映する機能を持つ。AIの学習シナリオ、ペルソナ作成にあたり、宮崎県の繁華街にあるスナックのママ複数人に50時間のインタビューを実施した。

 事前に取引先の若手社員などから悩みのサンプルを収集・分類。多かった悩みに対するママたちの回答を集めている。回答のパターンや傾向をAIに学習させ「よしこ」をつくり上げた。ママたちの回答には、まずは悩みを一度受け止めて肯定した上でアドバイスをする、などの特徴があったという。

 「よしこ」ママの回答パターンは提供開始時点で数百ほど。フリーワードの悩み相談への対応などは、AI自身の学習と併せて担当者によるチューニングを続ける。利用者が入力した言葉の中で多かったものを分析し、回答とひも付けるなどしていく。平松副室長は「10万件程度は悩み相談を集めたい」と意気込む。