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2022年度予算編成に向けた各省庁の一般会計概算要求が出そろった。デジタル関連の主要な要求額は総額1兆1398億1400万円だった。内訳は行政システムに約5300億円、研究開発などに6100億円弱である。

 2022年度概算要求の大きな変化は、各省庁の行政システム投資(整備・運用費)をデジタル庁に一旦集約する「一括計上」制度が本格始動した点にある。2021年9月1日に発足したデジタル庁が一括計上した5303億2300万円は、一般会計を財源とする各省庁の行政システムのほぼ全額に当たる。一括計上額は2020年度の3029億7200万円から1.75倍に膨らんだ。

 一括計上の対象外は、社会保険やエネルギーなど別の財源を持つ特別会計のシステムである。デジタル庁によると、特別会計も含めた政府のシステム投資は2022度に8000億円前後となる見通し。デジタル庁は政府システム投資の約3分の2を管理するわけだ。

 一括計上した行政システムは、デジタル庁の関わり方で分けると3つある。1つ目は、デジタル庁がIT投資の効率性や合理性を査定してから各省庁に予算執行を認める「査定型」のシステム。2つ目は、デジタル庁が各省庁と協働しながら調達プロセスにも積極的に関与する「協働プロジェクト型」のシステム。3つ目が、デジタル庁が自ら調達・運用するシステムである。

 一括計上は、デジタル庁の前身である内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室が2020年度から始めていたが、デジタル庁発足により同庁が一般会計分をほぼ全額掌握するように変わった。要求額をデジタル庁がどう査定するのか、手法や考え方が注目される。

AIに100億円規模の事業ずらり

 行政システムへの投資がデジタル庁に集約されたことで、各省庁が要求するのはほぼデジタル推進政策となり、見分けやすくなった。具体的には、研究開発、行政のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進、DXに取り組む民間への補助金や支援策などだ。

 研究開発では、経済産業省がAI(人工知能)チップや次世代コンピューティングの開発事業に105億円を、研究開発型スタートアップへの支援事業に72億7000万円を、次世代AIやセンシングの技術開発に65億7000万円をそれぞれ要求した。AIチップではスタートアップを含む民間企業のアイデアを実用化すべく開発を支援し、次世代コンピューティングでは高速化と低消費電力化を両立させるアーキテクチャーの開発費などに充てる。スタートアップ支援では政府が横断的・一体的に研究開発や事業化を支援する。

 総務省は2030年ごろの実用化が見込まれる6G(第6世代移動通信システム)の研究開発などに169億3000万円を、AI技術や量子暗号などの研究開発に386億1000万円をそれぞれ要求した。マイナンバーカードの普及にも引き続き注力し、地方自治体におけるカードの申請・交付強化の事業に1233億5000万円を要求している。

 人口過疎地などでのインフラ整備に向けては5G(第5世代移動通信システム)網や光ファイバー網の整備に78億9000万円を要求。428億6000万円を求めた電波の有効利用促進と合わせ、通信インフラ整備を継続・強化する。

「1人1台」構想は利活用を支援

 文部科学省はAI技術や光・量子技術などの先端分野の研究開発や、研究向けのデータプラットフォーム構築のために831億円を要求。2021年3月から本格運用を始めたスーパーコンピューター「富岳」とスパコンの共用基盤である「革新的な計算環境(HPCI)」の運営を合わせて、188億円を要求した。

 小中学生にパソコンやタブレットを1人1台整備する「GIGAスクール構想」を巡っては、端末利用を促す「GIGAスクール運営支援体制」の整備などに68億円を要求した。大部分を占めるのが「GIGAスクール運営支援センター整備事業」の64億円だ。学校の現場でICTを支援できる人材が不足しているなどの課題を受け、民間事業者などに委託する形で支援する。