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2023年度予算編成に向けた各省庁の一般会計概算要求が出そろった。防衛省を除く主なデジタル関連要求額の総計は約1兆2000億円に上る。各省庁ともDX(デジタルトランスフォーメーション)を見据え、基盤整備を急ぐ。

 デジタル庁の一括計上分は5556億600万円で、2022年度の4600億5300万円から2割増えた。同庁は2022年度の概算要求から、各省庁の行政システム投資(整備・運用費)を集約し、一括計上する仕組みを採用している。

表 2023年度概算要求における主なデジタル関連の要求(単位は億円)
デジタル庁が各省庁の行政システム投資を一括計上(出所:各省庁の概算要求を基に日経コンピュータ作成)
表 2023年度概算要求における主なデジタル関連の要求(単位は億円)
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 デジタル庁は各省庁のプロジェクトマネジメントオフィス(PMO)と連携し、予算要求から執行段階まで各プロジェクトをレビューする。2023年度の概算要求に向けては、予算要求前の「事前レビュー」を初めて実施し、大規模改修したり新規開発したりする166個のシステムについて精査した。

 内閣府は岸田文雄政権肝煎りの経済政策「新しい資本主義」に絡んで、「人・技術・スタートアップへの投資の実現」を掲げる。具体的に「スタートアップ・エコシステムの形成」として80億7700万円に加えて、金額を示さない「事項要求」を新規に求めた。前者の内訳を見ると、内閣府のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)など戦略的な研究成果を活用したスタートアップの創出支援が50億円を占める。

 同じく岸田政権が力を入れる「デジタル田園都市国家構想」の実現に向けては、「デジタル田園都市国家構想交付金」として1200億円を要求した。2022年度の当初予算額は1000億円だった。

 経済産業省は「データ主導のデジタル社会の実現」を掲げ、情報処理推進機構(IPA)交付金に加えて480億円を要求した。デジタル産業基盤の強化、デジタルインフラおよび事業環境の整備、デジタル人材の育成の3項目を柱に据える。

 デジタル産業基盤の強化に関しては、別々に製造された半導体チップを1つの基板上でブロックのように接続する「チップレット」の設計基盤構築に向けた技術開発事業に25億円を要求した。特別会計で「量子・AIハイブリッド技術のサイバー・フィジカル開発事業」に15億円、「省エネAI半導体及びシステムに関する技術開発事業」に80億円をそれぞれ新規に求めた。