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新型コロナ禍により大手IT企業は在宅勤務を勧め、出社率を下げている。オフィスへの出勤が減ったため、各社は通勤手当の廃止や見直しに着手。代わりに光熱費や通信費の負担を想定したテレワーク手当の導入を進める。

 大手IT企業が通勤手当の廃止や見直しに動いている。2020年9月、日経コンピュータが大手IT企業9社に聞き取り調査をしたところ、「オフィスへ出勤する概念を変える」(富士通広報)として7月に手当を廃止した富士通を始め、SCSKやNTTデータ、TIS、日本IBMの5社が既に廃止または見直しを決めていた。NECや野村総合研究所(NRI)も廃止に向けて検討中としている。

表 大手IT企業における通勤手当の支給状況
NTTデータや富士通は通勤手当を廃止
表 大手IT企業における通勤手当の支給状況
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 背景にあるのが「在宅勤務率が50%を超えてきた」(TIS広報)といったように、テレワークをする社員の比率が高まっている点だ。自社のオフィスに勤務する社員だけでなく、従来客先に常駐していたエンジニアにも在宅勤務が広がっている。「7割を超える常駐エンジニアが在宅勤務に移った」(NTTデータ)、「客先に常駐していたエンジニアの4割が在宅勤務になった」(SCSK)という。

相場は月5000円の手当

 日本IBMのように2カ月間、一定回数以上の出勤がない場合は通勤手当を支給しないといった細やかな規定を設けている企業もある。JR東日本によると、定期券は区間や購入期間など個別要素はあるものの、「おおむね1カ月で15~16往復を超える場合は定期券の利用を勧めている」という。東京地下鉄(東京メトロ)も区間などで異なるが、おおよその目安は変わらない。

 週4回ほどオフィスへの出勤がないと企業側は手当を払い過ぎていることになる。実態に合わない通勤手当の支給の見直しに着手するのは当然とも言える。大手IT各社は通勤手当の一律廃止の場合でも、条件付き廃止の場合でも、オフィスへ出社する際にかかる交通費は実費精算するとしている。

 通勤手当の廃止に伴って導入が進んでいるのが「テレワーク手当」だ。富士通やTIS、SCSKなどが導入済みまたは導入を決めている。金額を公表している企業はいずれも月5000円としており、現状ではこれが手当の標準金額と言えそうだ。用途は自宅での光熱費やインターネット接続費用などを想定しているという。