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みずほ銀行のシステム障害に関して、金融庁と財務省が行政処分を下した。金融庁は度重なる障害の原因が、運用やガバナンス、社風にあると指摘。みずほ銀行は勘定系システム「MINORI」の運用体制を見直す。

記者会見で謝罪するみずほフィナンシャルグループ(FG)の経営陣(左からみずほFGの米井公治IT・システムグループ共同グループ長、みずほFGの坂井辰史社長、みずほ銀行の藤原弘治頭取、みずほFGの松原真企画グループ副グループ長(危機管理担当)
記者会見で謝罪するみずほフィナンシャルグループ(FG)の経営陣(左からみずほFGの米井公治IT・システムグループ共同グループ長、みずほFGの坂井辰史社長、みずほ銀行の藤原弘治頭取、みずほFGの松原真企画グループ副グループ長(危機管理担当)
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 金融庁は2021年11月26日、みずほ銀行が2021年2月から9月までの短期間に8回のシステム障害を起こしたことによって、顧客に重大な影響を与えただけでなく、日本の決済システムに対する信頼性を損ねたとして、同行とみずほフィナンシャルグループ(FG)に業務改善命令を発出した。

3件・87万円の送金にマネロン疑い

 財務省も同日、みずほ銀行が2021年9月30日に起こしたシステム障害に際して、本来実施すべきだったマネーロンダリング対策の確認をせずに外国為替送金を行い、外国為替及び外国貿易法(外為法)に違反したとして是正措置命令を発令した。9月30日に外為送金取引を支援する「統合決済管理システム(ISCS)」で障害が発生し、349件の外為送金がアンチ・マネーロンダリング・システムによるチェックを経ずに実行された。

 このうちの3件・87万円分の送金が、マネーロンダリングの疑いのある取引だった。事後に確認した結果、規制対象となる取引ではなかったものの、外国送金は一度行われると取り返しがつかないものであることから財務省は事態を重く見て、是正措置命令に至った。

 金融庁や財務省の処分を受けてみずほFGとみずほ銀行は同日の2021年11月26日、経営陣の引責辞任を発表した。2022年4月1日付で、みずほFGの坂井辰史社長、みずほ銀行の藤原弘治頭取、CIO(最高情報責任者)である石井哲みずほFG執行役兼みずほ銀行副頭取、コンプライアンス統括グループ長である高田政臣みずほFG執行役兼みずほ銀行常務執行役員が、それぞれ役員を辞任する。石井氏は役員の辞任に先立ち、金融庁に対して再発防止策を報告する期限である2022年1月17日付でCIOを退く。

 金融庁はみずほ銀行がシステム障害を何度も起こした原因として、「開発や障害対応における品質を確保するための検証の不足」「MINORIの保守管理体制の未整備」「危機対応に関する訓練や研修の不備」を挙げた。つまりは運用に問題があったとする立場だ。

 金融庁としては、みずほ銀行が2019年に全面稼働させたMINORIが複雑なシステムであることは認めるが、複雑であること自体を問題としているわけではないという。真の問題は、複雑なシステムを安定稼働する運用体制を整備できなかったことにあるとして、経営管理(ガバナンス)体制の不備を非難している。

 同庁は具体的なガバナンス上の問題点を幾つも挙げた。主要なものだけでも、「経営陣がコスト削減を優先してMINORIを安定稼働させるための人材やコストを削減した問題」「みずほFGの取締役会においてシステムリスクに関連する人員削減計画などについて十分に審議しなかった問題」「CIOに高度な専門性を有する人材を選任しなかった問題」「みずほFGのリスク委員会が大規模なシステム障害を経営リスクとして選定していたにもかかわらず、経営陣が十分な対応をしなかった問題」「みずほFGの監査委員会がIT関連ガバナンス体制を重点監査テーマとして設定したにもかかわらず、内部監査グループが改善提言なしとした問題」――などがある。