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経済産業省が法人データサイトを「Amazon Web Services(AWS)」に移行した。従来は他社のクラウドサービスを使っており、性能の問題が生じていたという。AWSのデータベースサービスによって、この問題を解決した。

 中央省庁のシステムでAWSがじわりと広がっている。経済産業省は官民向けの法人データ提供サイト「gBizINFO(ジービズインフォ)」のシステムを、米アマゾン ウェブ サービスのクラウドサービスであるAWSに移行した。移行作業は2020年夏までに完了したという。

 AWSについては政府が中央省庁の共通IT基盤「第2期政府共通プラットフォーム」に採用しており、2020年10月に稼働させたところだ。gBizINFOは共通プラットフォームとは別に先行してAWSを採用した形である。

500万件の法人情報を提供

 gBizINFOは国内の法人について政府が保有するデータを、法人版のマイナンバーといわれる法人番号にひも付けて整理し、オープンデータとして提供するサービスだ。2017年1月に稼働し、順次機能を拡充してきた。

 gBizINFOで提供するのは国税庁の法人番号情報、金融庁の企業財務情報(EDINET)、特許庁の特許・商標情報、その他各省庁の補助金採択情報や調達情報などを含むデータだ。2020年10月時点で約500万件のデータを提供している。

図 gBizINFOの掲載情報と件数(2020年10月時点)
図 gBizINFOの掲載情報と件数(2020年10月時点)
2020年夏までに移行を完了(経済産業省の資料を基に日経コンピュータ作成)
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 経産省の細川義洋CIO補佐官は「従来のgBizINFOは他社のクラウドサービスを使っており、性能に課題があった」と経緯を説明する。

 gBizINFOは大量のデータをスムーズに扱えるようにするため、リレーショナルデータベース(RDB)と、ネットワーク型のデータ構造を持つ「グラフデータベース」を併用している。性能に問題があったのは特にグラフデータベースだ。他省庁のシステムとAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)で連携する際に、グラフデータベースの性能が十分に出ない現象がみられた。細川CIO補佐官は「今後もgBizINFOで取り扱うデータの種類と利用頻度が増えると想定される。今のうちに性能の問題に手を打っておく必要があった」と話す。

グラフDBの「Neptune」を採用

 問題の解決策を検討しているときに、アマゾン ウェブ サービス ジャパンからグラフデータベースのマネージドサービスである「Amazon Neptune(ネプチューン)」を使ったIT基盤の提案があったという。マネージドサービスとは大部分の運用作業を自動化するクラウドサービスを指す。経産省が検証したところ、十分な性能が出るうえにコスト面でも有利だと分かった。

 gBizINFOのRDBについては、AWSが提供するRDBのマネージドサービス、「Amazon Aurora(オーロラ)」を採用した。2020年4月にAWSへの移行を決定し、同年夏にAWSへ移行したところ、「処理スピードが出るようになり、性能の懸念がなくなった」(細川CIO補佐官)。

 AWSは従量課金制でありコストは確定していないが、前年実績から大幅に利用量が増えない限りコスト増にならないと見込んでいる。