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インターネット専業銀行が勘定系システムの新規構築や刷新に動き始めた。各行はクラウドやマイクロサービスを使い、軽量なシステムを志向している。ネット銀行全体に広がる可能性もあり、ITベンダーの競争も激化しそうだ。

表 ネット銀行の勘定系システムの動向
クラウドベースの勘定系が相次ぐ
表 ネット銀行の勘定系システムの動向
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 LINEとみずほ銀行が2020年度に開業する新銀行は、ソニー銀行などで稼働実績のある富士通製システムをベースに勘定系システムを構築する。富士通は2020年以降の提供開始を目指してクラウドベースの勘定系パッケージを開発中だ。第1号ユーザーとしてソニー銀への提供を検討している。

 ソニー銀へのシステム提供計画を踏まえ、富士通はLINEらに「2段階」で提案したもようだ。まずソニー銀などで実績のあるシステムを納入し、開発中の新システムがソニー銀で稼働したら将来的にLINEの新銀行のシステムも刷新するというシナリオだ。第1段階は実績のあるシステムで早期完成と安定稼働を優先させ、第2段階で新技術を取り込む戦略といえる。

 ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)も2020年度にモバイル専業銀行を新設する。同社は新銀行の勘定系システムをスクラッチで開発すると決めた。FFGのシステム開発子会社であるゼロバンク・デザインファクトリーと、グーグル・クラウド・ジャパン、アクセンチュアが開発を担う。

 ITインフラに米グーグルのパブリッククラウド「Google Cloud Platform(GCP)」を使うとともに、アプリケーションには「マイクロサービスアーキテクチャー」を採用。柔軟に保守開発できる仕組みを目指す。

 ソニー銀は先述したように、勘定系システムの刷新を検討している。アプリケーションは富士通の「FUJITSU Banking as a Service(FBaaS)」を、ITインフラは米アマゾン・ウェブ・サービスのパブリッククラウド「Amazon Web Services(AWS)」を念頭に調整しているもようだ。ソニー銀もマイクロサービスアーキテクチャーを採り入れ、保守開発コストを抑える。

 KDDI傘下のauフィナンシャルホールディングスと三菱UFJ銀行が共同出資するじぶん銀行も勘定系システムの刷新を進めている。米オラクル子会社の勘定系パッケージ「FLEXCUBE」から、Windowsで動作する日本ユニシスの勘定系パッケージ「BANKSTAR」に切り替える方針。稼働時期は2020年以降を目指しているもようだ。

注目は住信SBIネット銀

 今後の注目はズバリ、住信SBIネット銀行だ。同行は日本IBMの勘定系システムを使っており、2022年にも更改時期を迎えるとみられる。競合行が次々と新システムを導入するこのタイミングで、住信SBIネット銀もシステム刷新に打って出る可能性がある。

 ネット銀行の勘定系に関わるシステム商談を見ると、現在のところ富士通や日本ユニシスなどが受注実績を挙げている。これら2社に加え、国内の銀行向け勘定系で最大シェアを誇るNTTデータ、FLEXCUBEを持つ日本オラクル、新興勢としてアクセンチュアなどが加わり、争奪戦を繰り広げることもありそうだ。

 勘定系システムの刷新・構築は数十億円規模に及ぶ。ヤフーとLINEの経営統合で不確定要素も出てきたものの、次の大型商談を巡る戦いは既に始まっている。