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三越伊勢丹がスマートフォンアプリによるオンライン接客に乗り出した。店員がチャットとテレビ電話で、顧客から要望を聞き、商品を提案する。コロナ禍による売上低迷が続く中、新たな顧客接点を模索している。

 三越伊勢丹が2020年11月25日、旗艦店の1つである伊勢丹新宿店でオンライン接客による店頭商品の販売を始めた。独自開発したスマホアプリ「三越伊勢丹リモートショッピングアプリ」を顧客に自宅などで使ってもらい、テキストチャットやテレビ電話で同店の販売スタッフが個別に接客する。コロナ禍で来店客が減る中、同社はオンライン接客で顧客との接点を増やす考えだ。

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図 伊勢丹新宿店と「三越伊勢丹リモートショッピングアプリ」の画面
図 伊勢丹新宿店と「三越伊勢丹リモートショッピングアプリ」の画面
チャットやテレビ電話で接客(アプリの画像提供:三越伊勢丹)
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 「当社の強みである販売スタッフの接客力をネット上でも発揮したい」。三越伊勢丹の升森一宏MD統括部デジタル推進グループシームレス推進部長はオンライン接客の狙いをこう語る。

 同社のオンライン接客は、顧客がアプリのチャット機能で探したい商品のジャンルや好み、予算などを伝えると、販売スタッフがお薦め商品を返信する仕組みだ。より詳細な説明が欲しい場合は、日時を指定してテレビ電話での接客を予約できる。サービスの利用は無料で、伊勢丹新宿店で正社員として働く販売スタッフ約50人が接客を担当する。

店員が顧客のカートに商品を登録

 同社の最初のオンライン接客は2020年6月に遡る。試験的にZoomとLINEを使ったオンライン接客に取り組んだ。「顧客からの反応は良く、大きな手応えを感じた」(升森部長)。ただし「Zoomではクレジットカード番号を聞けないなどの問題があり、スムーズに決済を案内できなかった」(同)。

 そこで新たにオンライン接客専用のアプリを開発することを決めた。三越伊勢丹ホールディングス子会社でサービスデザインを手掛けるIM Digital Lab(アイムデジタルラボ)が開発を担当した。IM Digital Labの河村明彦プロダクトオーナー/デジタルサービスデザイナーは「チャットとテレビ電話による接客、決済の機能をシームレスにつなげたアプリは世界的にも珍しい」と説明する。

 さらに特徴的なのは、顧客が気に入った店頭商品を販売スタッフ側の操作でショッピングカートに登録できる「個品登録機能」を実装した点だ。販売スタッフはタブレット端末などのカメラで店頭の商品を撮影し、業務アプリに金額などを入力するだけで、顧客のカートに商品を登録できる。そのうえで顧客がカート内の商品を確認して決済すれば購入が完了する。決済後は、店舗から顧客の指定住所に商品を配送する仕組みだ。「顧客だけでなく販売スタッフにとっての使いやすさにもこだわった」(河村氏)。

 サービス開始時点では300ブランド・全1万5000SKU(Stock Keeping Unit)のアイテムを取り扱っている。数年以内に伊勢丹新宿店で販売する全商品約100万SKUを購入できるようにする計画だ。今後は日本橋三越本店や銀座三越などほかの旗艦店への導入も検討している。