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460の自治体で2020年11月27日、LGWANを使ったテレワークがスタートした。遅まきながら自治体職員はLGWANの接続を前提とした各種業務を自宅から行えるようになった。テレワークを支える新システムは「プログラマー」が開発した。

 443の市区町村をはじめ計460の自治体が使うテレワーク向け新システムの名称は「自治体テレワークシステム for LGWAN」である。LGWANに接続された庁舎内の業務用パソコンに新システムのソフトをインストールすると、そのパソコンの画面を自宅パソコンからインターネット経由で操作できる。自宅への専用線導入や自治体のファイアウオールの設定変更は不要だ。

 セキュリティー機能も十分配慮してある。自治体職員の自宅パソコンでアンチウイルスソフトが動作しているかを自動確認したり、接続時にワンタイムパスワードで多要素認証したりする。画面はキャプチャーできない。

 新システムは実証実験という形で、LGWANを管理する地方公共団体情報システム機構(J-LIS)と情報処理推進機構(IPA)が共同で提供している。実証実験は2022年3月末まで無料だ。

 新システム稼働に先立ち、J-LISが2020年10月に参加自治体を公募したところ、予想を上回る460団体から計4万3000台分の応募があった。当初3万台の利用を予定していたため、急きょ460団体が3万4000台分を利用できるように変更。応募数や自治体規模に応じて1自治体当たり1~2000台程度の配分に調整した。

 申し込みは総務部門やシステム部門からが多かったという。「(そういった部で)試験導入して使い勝手を確かめながら使い道を探っていくのではないか」(J-LISの梅原忍総合行政ネットワーク全国センターシステム部部長)。

 自治体からの評判は上々だ。80台を応募して75台分を割り振られた三重県伊賀市は現在、企画振興部広聴情報課情報政策係にて試用しており、使い勝手は「庁舎内での利用とほぼ同じで違和感がない」との感触だ。今後は職員のトレーニングなどをしたうえで市役所内の希望者が使えるようにしていく予定という。

「シン・テレワークシステム」を改修

 新システムは自治体職員の要望から生まれた。総務省の2020年3月実施調査によれば、テレワークを導入するのは都道府県が93.6%、政令指定都市が70.0%、市区町村は3.0%だった。

 新型コロナ禍によって職員の出勤が難しくなった多くの市区町村が解決策として「シン・テレワークシステム」に着目した。同システムはIPAとNTT東日本が共同開発したテレワーク向けのシンクライアント型VPN(仮想私設網)ソフト。かつてIPAが「スーパークリエータ/天才プログラマー」と認定し、2020年4月からNTT東日本の特殊局員も務めるIPAの登大遊産業サイバーセキュリティセンターサイバー技術研究室室長が主導して開発した。

 2020年4月21日から実証実験として無償提供し始めると自治体から利用したいとの要望が相次いだ。ただセキュリティー上の制限などからそのままシン・テレワークシステムを使えないため、登室長らが2020年9~10月に同システムをベースにして新システムを開発した。

新システム「自治体テレワークシステム for LGWAN」開発の現場となった情報処理推進機構(IPA)の「苦行センター」に立つ、IPAの登大遊産業サイバーセキュリティセンターサイバー技術研究室室長
新システム「自治体テレワークシステム for LGWAN」開発の現場となった情報処理推進機構(IPA)の「苦行センター」に立つ、IPAの登大遊産業サイバーセキュリティセンターサイバー技術研究室室長
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