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NECは「ローカル5G」の活用支援サービスをそろえた。AI(人工知能)や業種別のアプリケーションなどを組み合わせて提供する。成長領域と見込む事業の確立へ、用途やパートナーの開拓を急ぐ。

 ローカル5Gは高速大容量・低遅延・多数同時接続を特徴とする5G(第5世代移動通信)を、企業や自治体が自営用として敷地内などに設置できるネットワークだ。消費者向けサービスに使うキャリア5Gと比べ、ローカル5Gは自営網なので安全性や安定性、柔軟性などのメリットがある。

 NECは同事業の推進へ、3つのサービスを2020年11月に始めた。「コンサルティングサービス」はローカル5G構築の準備段階で必要な企画や要件定義、電波調査、端末検証などを提供する。「インテグレーションサービス」は無線局免許の取得支援をはじめ、現地調査や設計、検証を実施してネットワークを構築する。料金はどちらも個別見積もり。

 「マネージドサービス」はローカル5Gネットワークを24時間365日監視するほか、問い合わせ対応や保守手配、復旧対処などの運用業務を支援する。コアネットワークや基地局などローカル5Gを構成する機器と保守サービスを併せて月額料金で提供するメニューも用意した。企業や自治体は初期費用を抑えてローカル5Gを導入できる。料金は月額100万円(税別)から。

図 NECが提供を始めたローカル5G関連サービス
図 NECが提供を始めたローカル5G関連サービス
企画から運用まで支援(NECの資料を基に日経コンピュータ作成)
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建設や運輸の現場を支援

 「建設や製造、交通、公共、流通などの市場を中心に展開する」。NECの網江貴彦執行役員は新サービスを通じてローカル5G事業を展開する領域をこう述べる。既に建設では大林組、製造ではリコー、交通では全日本空輸などとローカル5Gの実証を進めている。

 NECはAIや業種別アプリケーションなどを組み合わせて提供し、顧客のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する狙いだ。同社はAIを活用して遅延を考慮した制御をする「適応遠隔制御技術」やネットワークの優先順位をつける「適応ネットワーク制御技術」などの技術を持つ。例えばロボットや建機を遠隔制御する際、AIで予測した遅延を考慮して制御する。適応ネットワーク制御技術を使えば、重要な通信を選んで遅延の変動を抑えることができる。

 業種別のユースケースの一例が、建設現場における重機の遠隔操作や自律施工などの支援だ。一時的なローカル5Gの通信環境を構築し、高精細な画像を伝送してAIで分析することで、複数の重機を協調制御して自律運転などができるようになるという。

 航空会社や鉄道などで、空港や駅の安全管理や設備点検といった業務の効率化にも役立つとみる。画像解析技術を組み合わせて、混雑度や人数を計測して混雑を緩和する、異常を検知して不審者を発見する、車両に取り付けたカメラで架線を点検するといった用途を想定する。

 用途開拓に加え、パートナー企業の拡充にも力を注ぐ。既に産業用ロボットの三菱電機や光学機器のコニカミノルタ、携帯電話会社などとパートナーを組んだ。

 矢野経済研究所によればローカル5Gの国内サービス市場は2025年度に470億円。NECはローカル5G関連を含むネットワークサービス全体で、2025年度までに累計2000億円の売り上げを目指す。