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国のデジタル施策を担う新組織「デジタル庁(仮称)」の概要が固まった。発足は2021年9月1日で、大型案件に向けて100人超を民間から登用。政府IT調達を統括するほか、自治体や民間のデジタル化支援も主導する。

 政府は2020年12月25日の閣議で「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」を決定した。デジタル庁の2021年9月1日発足に向け、政府は2021年1月に開く次期通常国会でデジタル庁設置を含む複数のデジタル改革関連法案を提出する予定だ。

 基本方針ではデジタル庁の役割について、政府システムの整備方針を策定して一元的に統括・監理するほか、重要なシステムを自ら調達・運用するとした。各省庁のシステム調達に初期から参画・統括するために、IT予算はデジタル庁の予算としてまず一括計上する。2021年度の一括計上は約3000億円と政府IT予算8000億円の4割弱から始まり、順次範囲を広げる考えだ。

 IT予算の一括計上は2020年度に始まっていたが、担当する内閣官房は明確な権限を持たず、役割は実質的に助言にとどまっていた。デジタル庁は各省庁に是正を勧告するなど「強力な総合調整機能」を持つ点が異なるという。

 特に住民情報や法人、不動産、地理など社会の基盤データとなる「ベースレジストリー」を扱う行政システムは早期にデジタル庁が参画し、データの連係や標準化を主導する考えだ。関係者によると、厚生労働省が担当する年金や労働行政、法務省が担当する戸籍や登記などのシステムが、早期にデジタル庁が参画すべき対象として挙がっているという。住民情報と結びつきが深いマイナンバー制度も全般の企画立案をデジタル庁に集約する。

 デジタル庁は市区町村などが使う自治体システムの標準化も主導する。総務省などと連携してシステム標準仕様を策定するほか、自治体向けクラウド基盤「Gov-Cloud(仮称)」も整備する。詳細はこれからだが、標準化を推し進めるため、住民基本台帳など基礎的なデータベースを搭載したクラウド基盤になる可能性がある。「デジタル庁が最初期に取り組む大型システム構築案件の1つ」(関係者)となるのは確実だ。

民間登用、年収1000万円超も

 自治体や政府共通のクラウド基盤など、デジタル庁には複数の大型案件が控える。優秀な技術者を集めるため、兼業や非常勤も含めた様々な勤務形態で民間から人材を募る。発足時に見込む職員数500人のうち「週5日勤務換算で100人強は民間から採用する」(内閣官房IT総合戦略室)といい、採用者数は100人を大きく上回る見通しだ。

図 政府が基本方針で示したデジタル政策担当組織の概要
図 政府が基本方針で示したデジタル政策担当組織の概要
民間から100人超を登用へ
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 デジタル庁発足に先行して、2021年4月に着任する約30人の募集も始めた。募集するスキルはクラウドやシステム企画構想などで、高スキル人材には年収1000万円超で処遇する方向だ。優秀な人材を官民で交流させる仕組みが成功の鍵を握りそうだ。