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日本電子計算の自治体向けクラウドで発生したシステム障害。全体の15%、33自治体のデータが消失していたと分かった。単独では復旧が不可能なデータが存在し、深刻な事態に陥っている。

写真 日本電子計算の記者会見の様子
写真 日本電子計算の記者会見の様子
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 日本電子計算が2019年12月16日に開いた記者会見によると、自治体向けクラウドの障害で全体の15%、33自治体のデータを消失した。同社単独では復旧が不可能であり、深刻な事態に陥っている。2019年12月25日時点で完全復旧に至っていない。

 同社の自治体向けIaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)「Jip-Base」は仮想環境で構築してあり、合計1318の仮想OS上で自治体などの業務システムを稼働させていた。Jip-Baseを利用中の中野区によると、「仮想化ソフトにはVMware vSphereを使っている」という。

 障害の経緯はこうだ。2019年12月4日に突如、仮想環境での異常事態を知らせる警告が出て利用できなくなった。ストレージのファームウエアの不具合が原因だった。同社は翌12月5日にメーカーのEMCジャパンと共にストレージのファームウエアを修正。だが、復旧には至らなかった。

 仮想OSを再構築して復旧しようとした際、「ストレージは物理的に回復したが、一部の仮想的な領域に不整合が発生しており、仮想OSが仮想ディスクにアクセスできない事象が発生した」(日本電子計算の山田英司社長)のだ。同社にとっては想定外であり、「12月9日には復旧できるメドがついた」と12月6日に公表しておきながら撤回を余儀なくされたのはこれが原因だった。原因や範囲の特定でさらに時間を奪われた。

一部のバックアップ機能が停止

 結局、一部のデータは復旧できないと分かった。代替策として、同社が持っているバックアップデータから戻すと決めたが、一部はバックアップを取れておらず、データが見つからなかった。「一部のバックアップ機能が最近止まっていたことが判明した。運用監視でも検出できていなかった」(同社の公共事業部基盤サービス統括部の神尾拓朗部長)というミスがあった。

 バックアップを取れていなかったデータは全体の15%。学校の校務データや後期高齢者医療制度のデータなど33自治体に影響が出た。ただ、「自治体が独自に持つデータなどから復旧できる可能性もある」(神尾部長)。日本電子計算の12月25日の発表によると、バックアップデータが見つからず復旧のめどが立っていないデータは15%から4%まで減少した。自治体が保有していたバックアップデータを使ったり、新たな仮想化環境を構築したりして復旧を進めた。全体の90%は復旧が完了し、6%が復旧作業中という。

 残る4%に該当する自治体数については公表しなかった。理由は「IaaS上で業務システムとして利用可能にはなったが、自治体における確認作業などがあり、まだ稼働させていないところもあるため」(広報)。33自治体よりは減ったとした。