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政府は2019年度補正予算案と2020年度本予算案を決定した。2021年3月末までに投じる主要なデジタル関連予算は1.7兆円を超える。小中学校のパソコン整備から量子コンピューター関連まで幅広く増額した。

 2019年8月に各府省が概算要求を出した時点での主要なデジタル関連予算は約7000億円だった。1兆円も増額したのは、政府が2019年度の補正予算案で「デジタル・ニューディール」政策を掲げ、デジタル分野への投資による景気刺激を重視したからだ。

 例えば文部科学省は「GIGAスクールネットワーク構想」の内容について、小中学校での無線LAN整備というものから「全小中学校生にパソコンを持たせ、無線LANなども整備する」へと拡大した。執行時期を2020年度本予算から2019年補正予算に前倒し、予算額を2318億円と概算要求時の6倍に増やした。

 経済産業省は補正予算を活用して次世代の通信技術などの研究開発に1100億円を確保した。他の府省も同様にIT関連の研究開発費を増額した。

マイナンバー関連に5000億円超

 2019年度補正予算に盛り込んだデジタル関連政策の額は1兆円を超える。2020年度予算を合わせた「15カ月予算」でデジタル関連政策を見ると、最も大きいのは省庁横断で総額5000億円超を投じるマイナンバー関連だ。

表 マイナンバー関連の主な予算額(単位:億円)
普及促進事業の予算を約7倍に
表 マイナンバー関連の主な予算額(単位:億円)
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 総務省はマイナンバーカードの調達や市区町村での発行体制の整備に1778億8000万円を投じる。さらにカード普及の起爆剤として、カード保有者を対象にしたポイント還元事業にシステム開発費を含め2478億8000万円を確保した。カードの取得者が「マイキーID」と呼ぶIDを通じて民間のキャッシュレス決済サービスとマイナンバーカードをひも付けると、決済額の25パーセント、1人最大5000円分を還元する。2020年9月ごろに始める予定だ。

 厚生労働省はマイナンバーカードを保険証として利用できる制度整備とシステム開発に取り組む。2020年度は768億円を投じる予定だ。

 マイナンバーカードの普及率は2019年8月末時点で約14%、発行枚数1772万枚にとどまる。総務省は2021年3月末に6000万~7000万枚まで増やす目標を掲げる。目標達成に向け、2020年度はマイナンバー関連政策の成否が問われる年となりそうだ。

 キャッシュレス決済の推進政策も予算規模が大きい。経産省は2019年10月、消費増税に伴う景気対策として利用者にポイントを還元するキャッシュレス・消費者還元事業を始めた。同事業向けに補正予算と本予算で計4200億円を確保した。2019年度に2798億円を充てたが、キャッシュレス決済の導入店舗数と利用者数が伸びていることから、2020年6月の事業終了を待たずに底をつく見通し。予算を追加確保して息切れを防ぐ。

 総務省が実施するマイナンバーカード保有者向けの事業も合わせると、2019年度からの2年間でポイント還元事業に充てる予算額は1兆円近くに膨らむ。利用拡大の勢いに弾みを付け、還元終了後に定着させる狙いだ。

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