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 「ソニーグループならではの多様なポートフォリオをいかに生かすか。そのための手段がデジタルトランスフォーメーション(DX)だ」。同社でCDO(最高デジタル責任者)を務める小寺剛常務は、ソニーGにおけるDXの役割をこう解説する。

 ソニーGの業績は好調だ。同社の2022年3月期の売上高(国際会計基準)は前期比10%増の9兆9000億円、営業利益も同25.6%増の1兆2000億円を見込む。会計基準の変更があったため単純比較はできないが、営業利益は初めて1兆円の大台に乗る見通しだ。

図 ソニーGの売上高と営業利益率の推移
図 ソニーGの売上高と営業利益率の推移
低迷から成長路線に回帰、営業利益率は10%超に(出所:ソニーGの資料を基に日経コンピュータ作成、写真:的野 弘路)
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 成長路線に回帰したソニーGだが、ここに至るまでの道のりは曲折をたどった。持ち株会社制に移行前の旧ソニーは2012年3月期に、過去最大となる4566億円の最終赤字(米国会計基準)を計上した。

 2012年4月に社長兼CEO(最高経営責任者)に就いた平井一夫氏(現シニアアドバイザー)は人員削減を含む事業構造改革を断行した。不振の主因の1つだったテレビ事業は販売会社の集約などを進め、2014年に分社化。「VAIO」ブランドで展開するパソコン事業も同年に売却した。

 一連の事業構造改革が実を結ぶ形で、ソニーの業績は回復。2018年4月に平井氏からCEOのバトンを受け継いだ吉田憲一郎会長兼社長の下、2021年4月には持ち株会社制に移行し、社名を「ソニー」から「ソニーグループ」に変更した。祖業のエレクトロニクスだけでなく、エンターテインメントや金融など幅広い事業で稼ぐ方針だ。今では連結売上高の半分、営業利益の6割をエンタメ事業が稼ぎ出す。

 2022年1月には米テクノロジー見本市「CES」で、電気自動車(EV)の事業化を進める新会社「ソニーモビリティ」を2022年春に設立する計画を明らかにした。