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米アマゾン・ドット・コムは自社の業務システムを次々に外販する。優れたシステムを社会に提供、共有する仲間を増やしていく。「オープン」な取り組み姿勢は一般企業にも参考になる。

 米アマゾン・ドット・コムは2020年3月、レジを置かないキャッシュレス店舗「Amazon Go」の技術基盤を他社に提供すると発表し、そのためのサイト「Just Walk Out」を公開した。小売店は同サイトを通じてアマゾンの技術基盤を導入すれば、クレジットカードを提示した来店客が欲しい商品を持って店舗を出ると自動的にそのカードへ請求する仕組みを構築できる。

 アマゾンは20数店舗にAmazon Goを展開済みで2月にはシアトルでスーパーマーケット版となる「Amazon Go Grocery」を開店した。日本では無人店舗として紹介されがちだが、アマゾンはAmazon Goの狙いを「店頭における顧客動向データの収集」としており、商品の補充や並び替えなどのために相当数のスタッフを動員している。

アマゾンの一貫したオープン戦略

 かねてよりアマゾンは自社の業務の仕組みとそれを支える技術を外販する方針を採っており、Just Walk Outはその一環である。アマゾンの最大の収益源になっているクラウドサービスAWS(Amazon Web Services)は同社の本業である電子商取引のために構築したシステム基盤を社外に広げたものだ。アマゾンの強みである、消費者ごとに次の購買を勧めるリコメンデーションとパーソナライゼーションの技術も「Amazon Personalize」としてAWS上で提供している。

 こうしたアマゾンの取り組みを顕著に表すサービスとして「Amazon Connect」がある。顧客に電話やチャットを使って応対するコールセンターで必要となるシステムをAWS上のクラウドサービスとして提供するものだ。アマゾンが社内で磨きをかけてきたコールセンター業務とそれを支えるシステムを他社も利用できる。

 Amazon Connectを導入した企業は音声とチャットをシームレスに組み合わせたオムニチャネル型のコールセンターを構築し、需要に合わせて対応規模を調整できる。電話をはじめ、すべての機能はAWS上のソフトウエアで実現されるため、利用企業はAWSにアクセスできる環境さえあればそれ以外の専用機器を購入することなくコールセンターを始められる。利用料金は従来のコールセンター用システムと比べて低く設定されている。

 AWS上のサービスらしく他のクラウドサービスと容易に組み合わせられる。操作画面から顧客対応の流れを定義するだけで、応対者の技量や経験に応じた振り分けや、音声のテキスト変換、自動音声応答といった機能をAmazon Connectを中心に実現できる。CRM(顧客関係管理)サービスと組み合わせて顧客情報を応対者にその場で伝える、といった使い方がパートナー企業から提供されている。