米テスラのイーロン・マスクCEOが米ツイッターの筆頭株主になった。電気自動車メーカーの経営とSNSへの関与はマスク氏にとり同一線上にある。様々なデータが連携、影響し合う社会で事業をする時代に入っているからだ。
電気自動車メーカーの米テスラと宇宙ロケットを開発する米スペースXのCEO(最高経営責任者)を務めるイーロン・マスク氏が2022年4月4日、SNS(交流サイト)の大手である米ツイッターの筆頭株主になった。同氏は約3400億円を投じツイッター株の9.2%を取得。株価は4日、27%上がったが大量保有の報告が遅かったとして複数の投資家が12日付で集団訴訟を起こした。さらにマスク氏は13日に米証券取引委員会(SEC)へ届けた文書にツイッターを買収すると記載した。
5日にツイッターはマスク氏を取締役に迎えると発表したが9日になってマスク氏は辞退した。ツイッター株取得が明らかになる直前、マスク氏はSNSの重要性を訴え、「1週間以内に」改革への手を「自ら打つ」といった趣旨の発言をTwitterでしていた。
マスク氏は米誌フォーブスが4月5日に発表した2022年版世界長者番付で1位になった。著名な富豪経営者の一連の動きを見た経営者はその狙いについて情報システム責任者に尋ねるかもしれない。
マスク氏はTwitterを最もうまく使っている経営者の1人と言える。実際、同氏にとってTwitterは世界の人々と対話をする幹線になっている。
例えば2月26日、ウクライナの副首相が「Starlinkを使いたい」とマスク氏にTwitterで連絡した。StarlinkはスペースXが提供する、衛星を使ったインターネット接続サービスである。マスク氏は10時間半後に「ウクライナでStarlinkのサービスを利用できるようにした。送受信用端末を送った」とツイートした。世界の人々が発信し、受け取り、しかもその連鎖がリアルタイムで見られる。このことをマスク氏は重視している。
テスラ、スペースX、ツイッターと並べてみると「新たな社会基盤」を前提に、その中で2社を経営し、1社に関与するマスク氏の一貫性が浮かび上がってくる。その姿勢は日本企業の経営者にとっても情報システムの責任者にとっても示唆に富む。