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API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)とは何か。システムをつなぐ技術や手法を指すがそれだけではない。真価は協業によって成長と変化に対する適応力を高める点にある。

 APIはシステムやソフトウエアあるいはサービスを、他のアプリケーションから利用するための公開仕様である。純然たる技術用語のようだがAPIの真価は技術にとどまらずビジネスにおいて発揮される。情報システム責任者はもちろん、本来であれば経営者やビジネス責任者もAPIの真価を理解しておかなければならない。

1300億円の値段が付いたAPI

 APIの力を示す事例として米ガリレオ・フィナンシャル・テクノロジーズを紹介する。2000年に創業した同社は支払い・決済に必要なビジネスの機能とITの機能を、APIを通して提供する。FinTech企業や小売業はガリレオのAPIを使うだけで、デビットカードやクレジットカードの発行を含む支払い・決済の機能を素早く取り込める。支払い・決済に関わる事務処理、他の金融機関との振り替えなどもガリレオが引き受けてくれる。

 新型コロナウイルス問題を受け、ガリレオはタッチレスでカード決済できる機能の提供も始める。小売店が用意するスマートフォンにクレジットカードをかざすと支払いが完了する仕組みである。

 そのガリレオを米ソーファイ(Sofi)が2020年4月7日、12億米ドル(約1300億円)で買収すると発表した。ソーファイは学生向けローンで起業したFinTech企業で住宅ローンや株式トレーディングなど消費者向け金融サービスを手がけている。ソーファイはガリレオの大手顧客でもある。

 新型コロナ禍の中、これだけの規模の企業買収が成立したことを米フォーブス誌は「異例」としつつ、2社の好業績を指摘した。同誌によるとソーファイは「優良な顧客を数多く抱える」。2019年末のガリレオの年間売上高は「1億ドル近くに達していた」という。

 ソーファイの狙いは企業向け金融サービスへの進出を含む多角化だが、ガリレオを引き続き独立会社として運営する。ガリレオはソーファイのライバルを含む、多くのFinTech企業を顧客としており、そうした顧客へのAPI提供を継続し、拡大する。

 例えばスマートフォンから利用するデジタル銀行を起業するとしよう。ガリレオを使うデジタル銀行の起業家は商品(ビジネスロジック)と顧客体験の設計と開発に専念すればよく、口座開設や送金、カード発行、審査といったバックオフィス機能をガリレオに委託できる。銀行業には各種の規制が課せられているが、ガリレオが規制対応やそれに伴う機能改良を引き受ける。