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デジタル企業ないしIT企業と聞くと経営者はGAFAMを思い浮かべる。IBMや富士通といったIT企業に事業変革を相談できるのか。いずれもシステムづくりのプロであり顧客企業の競合相手にはならない。

 「IBMは今どこにいて、これからどこに力を入れていくのか分かりにくい、と多くのメディアの方から指摘された。そこで『お客様のデジタル変革をリード』するために当社が手掛けている事業の全体像を描いてみた」。日本IBMの山口明夫社長は2020年6月16日、会見でこう切り出した。ハードとソフト製品を持ち、システム開発・運用サービスを担い、パブリッククラウドも用意する米IBMの全体像は確かに一言で説明しにくい。

 IBMとほぼ同様の事業ポートフォリオを持つ富士通も分かりにくいことになるが、時田隆仁社長は「IT企業からDX(デジタルトランスフォーメーション)企業へ」と会見で述べており、5月14日の決算発表でも繰り返した。

 だが今や、経営者の多くはIT企業あるいはDX企業と聞くと、GAFA(米グーグル、米アップル、米フェイスブック、米アマゾン・ドット・コム)、あるいは米マイクロソフトを加えたGAFAMを想起するのではないか。となると「DXやAI(人工知能)に取り組んでほしい。いつものIT企業ではなく新たな協力相手を探せ」と情報システム責任者に求めるかもしれない。

 協力相手を見極めるために、情報システム責任者はGAFAMについてはもちろん、長年付き合いがあるIBMや富士通など従来IT企業についても今どこに向かおうとしているかを知っておく必要がある。注視すべきはICTによる新社会基盤に取り組む姿勢である。

 新社会基盤とは、モバイルやインターネットなどのICT、活動(生活や仕事)、情報がつながり、一体になった状態を指す。この社会基盤が事業の変革や産業融合をもたらす、という内容の報告書『メガトレンド2020-2029ICT融合新産業編』を日経BP総研は出している。報告に基づき前回は社会基盤を担うGAFAMの事業ポートフォリオを医療分野に絞って紹介した。続いて生活、働き方、教育などを展望すると述べたがIBMや富士通が重要な発表をしたことを受け、今回は従来IT企業の取り組みを確認してみよう。