全2498文字
PR

国や地域を越えた活動がITで可能になる半面、事業が複雑になりかねない。ITが生む複雑性に対処するにあたってもクラウドなどのITが欠かせない。典型例として消費税コンプライアンスのためのクラウドサービスがある。

 インターネットやクラウド、モバイルデバイスを組み合わせた新たな基盤の上で事業を展開することによって、国や地域などの距離あるいは時間といった制約を越えられる。事業を急速に進化させることができるが、国や地域が持つ法規制などの制約は残っている。そうした制約に対処しなければ、事業の運営がかえって複雑になるリスクがある。この問題を解くためにもITの力、ITがもたらす基盤が不可欠である。

 典型例として「税務(タックス)コンプライアンス」のうち、販売における消費税の処理を取り上げ、その複雑性と専門性に事業者が対処するためのクラウドを紹介する。

消費税の支払いは経営リスク

 国や地域を越えて商品を開発・生産し、仕入れ、販売することが容易になった。事業のあらゆる側面を支援する各種サービスも国と地域にまたがって利用できる。販売やサービス利用といった商取引には国や地域ごとの商習慣やルール、法律への対応や順守が付いて回る。中でも消費税の処理は非常に複雑だ。税の定義と徴収方式から、計算式と税率、納付方法、記録管理まで国や地域により異なっている。物販かサービス提供か、対象商品によって基準が違う場合もある。

 国や地域ごとの専門知識に基づいて消費税を処理する仕組みを用意しなければならないがこれは経営リスクになる。納付が遅れたり事務負担から間違いを起こしたりする危険がある。消費税は利用者からお金を預かる形の税であり納付漏れや延滞への罰金は大きい。この状況を受け消費税コンプライアンス向けクラウドが登場している。

Stripe Tax:前号本欄でも紹介した米ストライプは2021年6月、Stripe Taxと呼ぶ新たなクラウドサービスを米国全州と約30カ国で始めた。クレジットカードなどの決済機能をAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)経由で提供するサービスであるStripeと一体にして使う。

 Stripe Taxは販売する国や地域を判別し、消費税、VAT(付加価値税)、GST(物品サービス税)など異なる税制にあわせて適用対象と税率を特定、適切な税額を自動で計算し徴収する。必要に応じてEUのVATのIDも確認してくれる。納付の際に使うデータも記録する。消費税の税率やルールは常時変わるがStripe Taxが変化に追随するため事業者は意識しなくて済む。

 事業者は自身のWebサイトに数行のコードを挿入することによりStripeを使えるが、さらにコード1行を追記あるいは設定ボタンを押すだけでStripe Taxを一体にして利用できる。