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米アマゾン・ドット・コムが医療サービスの米ワン・メディカルを買収する。発表文を読むと社会が求める事業の姿とITによる実現の要諦が伝わってくる。両社に共通するのは、データを基点に関係者が協調し利用者に即応する仕組みだ。

 「たまたま読んだ新聞や雑誌の記事について」「社長が『ITに関係することだから情報システム部長の顔を見たら聞いてみよう』と思ってくれたら(中略)貴重な機会である」。本連載の第5回(2014年5月1日号)に書いた通り、日ごろからニュースに目配りしておくことがIT専門家に望まれる。

 今回は2022年7月21日に米アマゾン・ドット・コムが発表した米ワン・メディカルの買収を取り上げる。デジタルトランスフォーメーション(デジタル化)を考える上でアマゾンは注視すべき存在であり、アマゾンが医療分野に進出するように、事業を異分野に広げていく可能性は多くの企業にある。

 アマゾンは発表文の冒頭、ワン・メディカルを2つの短文で紹介し、事業の特徴とデジタル化の関係を明確に表現している。それを読み解いてみよう。

One Medical is a human-centered, technology-powered U.S. primary care organization

 ワン・メディカルは人間中心(患者・利用者中心)でITによって駆動される、プライマリーケア(1次診療)組織である。利用者(患者)の日常接点であり、健康面の悩み相談、兆しや突発的な異常への応対と応急措置、専門医療機関へのつなぎ、などを担う。各利用者のタイミングに即応し、求められる措置をすると共に、後続も含め、様々なプレーヤーと連携する。緊急事態に応対する場でもありアレルギーなどへの配慮が欠かせず、病歴や他疾患の有無など利用者の記録が必須になる。

 掛かりつけ医に相当するが複雑化した医療の中で従来のやり方の持続は難しく、ITの力を生かしたサブスクリプション・サービスが登場している。

on a mission to make quality healthcare more affordable, accessible, and enjoyable

 ワン・メディカルのミッションは手ごろな料金で、いつでも気軽につながり、快適な対話と体験ができる高品質のヘルスケアサービスを提供すること。医療の費用負担への心配、予約など受付に苦労、ハードルが高く快適とは言えない診療体験の解消を目指す。

through a seamless combination of in-person, digital, and virtual care services.

 ミッションを対面、デジタル接点、バーチャルケアサービスをシームレスに組み合わせて達成する。続く1文でアマゾンは実現方法を紹介している。

One Medical combines in-person care in inviting offices across the country

 全米に広がるオフィスで対面ケアを提供する。ワン・メディカルの公式サイトによると125カ所超の便利な場所に診療所を持つ(提携診療所も含む)。利用者はいつでもオンラインで症状の相談や診療の予約をし、必要があれば当日または翌日、都合のよい場所の診療所で医師の対面診察を受けられる。

with digital health and virtual care services