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米アマゾン・ドット・コムなどGAFAと呼ばれる4社は金融サービスに積極的だ。検索、モバイル、SNS、電子商取引など本業の利用場面を金融で充実させる。決済や融資の再定義につながるものの既存の銀行になるわけではない。

 「事業領域を次々に広げていくGAFA(米グーグル、米アップル、米フェイスブック、米アマゾン・ドット・コム)は金融サービスにも乗り出している。アマゾン銀行、グーグル銀行が登場するのか」

 銀行の頭取がこう尋ねてきたら情報システム責任者はどう答えたらよいか。アマゾンは決済や融資をすでに手掛けている。アップルはクレジットカードを発行、グーグルはデビットカードの発行を検討している。フェイスブックはメッセージ交換のWhatsAppを通じ、ブラジルで決済や送金を始めた。

 それでも「GAFAは銀行になるつもりはない」が答えだ。といっても頭取はまったく安心できない。GAFAは自社の本業のあり方を描く中で金融業がこれまで担ってきた決済や融資を再定義しつつある。銀行にならなくても既存の銀行業務を代替してしまうかもしれない。

本業強化として金融を手掛ける

 言うまでもなくGAFAはそれぞれの本業で大勢の顧客を抱えており、そこに巨大な商流がある。電子商取引首位のアマゾンは小売業かつ物流業であると同時に他の事業者が売買できるマーケットプレイスの運営者で売り手と買い手をつなぐ。アップルとグーグルはアプリ売買やストリーミングサービスの場を提供しつつ、自ら小売りもする。フェイスブックはSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)や写真共有、メッセージ交換といった消費者に密接なサービスを持ち、その上で多数の小売業が活動している。

 消費者や事業者が売り買いをする、その利用場面で決済や融資など金融サービスを受けられるのは自然な流れと言える。前号でGAFAの小売り・物流への取り組みを紹介、「消費者に新たな購買体験を提供する」と説明した。購買体験には金融も含まれる。つまりGAFAは自社の資金や顧客、ICTといった特定の側面を生かして金融に参入したのではないし、新たな発想で新分野を創出したわけでもない。

 アマゾンはマーケットプレイス上で商売をする事業者に対し、売り上げを担保に融資する。アップルはAppStoreやAppleMusic、そして直営店でアプリや音楽、製品を買う顧客にクレジットカードを提供、キャッシュバックする。顧客は還元を含むカードの利用状況をiPhoneからすぐに見られる。

 GAFAは金融分野の企業買収をほとんどしていない(大手と提携はしている)。顧客とのつながりを確立している本業を拡充すれば金融サービスが成立するからだ。医療や小売りの分野で企業買収を繰り返してきたことと好対照である。