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企業にとっても社会にとっても教育は極めて重要である。「自ら楽しく創作する」教育体験を大手IT企業は提供しつつある。同様の新たな体験がビジネスにおいても求められる。

 経営トップとして何を重視するかと問われて人材育成を挙げる社長は多い。だが新型コロナウイルスの影響でテレワークが進み、新たな環境で人をどう育てていくかが課題になっている。学校でも遠隔教育は試行錯誤の段階にあり、将来何をもたらすのか、まだ分かっていない面がある。そうした中、米マイクロソフト、米グーグル、米アップルなど大手IT企業は教育分野に相当な力を入れている。各社の取り組みには共通点があり一般企業にも示唆を与える。

広がった新たな教育体験

 外出自粛や休校が続いた2020年3月末、マイクロソフトは仮想世界の探索ゲーム「マインクラフト」で使える教育コンテンツ「Education Collection」を公開、6月末まで無料でダウンロードできるようにした。どの教育コンテンツも体験型であり子供たちは家族と共に自宅から宇宙ステーションの見学や人の眼球内の探検に参加できた。自ら仮想世界に入り様々な体験を楽しみつつ、何かを建てたり文章を書いたりパズルを解いたりする。家で家族と一緒に体験しつつ自主的に学ぶ形態を外出自粛の中、促進させた。

 マイクロソフトは2014年9月、マインクラフトの開発元であったスウェーデンのモヤンを買収。2016年1月には教育機関向け改良版「MinecraftEdu」をフィンランドのティーチャーゲーミングから買収した。

 「自ら楽しく創作する」という学び方はマイクロソフトやグーグル、アップルらが提供する教育関連のシステムやサービスにおいても見てとれる。

 アップルが2019年のクリスマスシーズンに流した動画広告はそのやり方を表現したものであった。一人暮らしの祖父の家を訪問した子供たちは祖父母の懐かしい写真やビデオテープの動画をタブレットで撮影、手書き文字を加えてデジタルアルバムをつくり、祖父へプレゼントする。子供たちはツールを「自ら」使い、アルバムを「楽しく創作」し、祖父と共に観賞した。

 つまり利用者は教育コンテンツの主題を学ぶと同時に、VR(仮想現実)を含むデジタルツールがもたらす創作の楽しさと可能性を実感する。インターネット上の情報を探し、何かを生み出す力が身につく。それがデジタルリテラシーであり教育にデジタルツールを持ち込む意味はそこにある。教師から教えられる受け身の学びではなく本を読んで頭で覚える暗記でもない。個別ツールの操作を学ぶだけでもない。