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マイノリティー(少数派)と組み、社会問題への解決策を実行に移していく。米アップルは社会にインパクトを与える起業家15人を支援すると発表した。15人とも黒人やヒスパニック、少数民族といったマイノリティーである。

 「もっとインパクトを出せないか」

 部下の報告を聞いて経営者がしばしばつぶやく言葉である。考えられた提案だし、自社が持つ技術を生かせると見て承認したものの、いざ実行に移そうとすると色々な制約や壁にぶつかり、そもそもの案に単なる思い付きが含まれていたと分かってしまう。事業に付いて回る不確実性を超え、実行できる姿に具体化し、技術をもって実現するのは相当に難しい。できる範囲でまとめようとすると期待した結果が出なくなり冒頭の発言につながる。

 ましてや昨今求められる、本業の力を使って社会問題へ貢献する取り組みになるともっと難しい。解決策を一応出せても実際の現場にどう持っていけばよいのか、なんとか始められたとしても持続性をどう担保するのか、分からないことばかりである。

 打開策としてコラボレーション(合作・協業)の推進、ダイバーシティー(多様性)の確保がある。異なる経験と知識を持ち、違った視座から物事を見られ、かつ実行できる人たちと組むわけだ。

マイノリティー経営者15人を選ぶ

 米アップルが2021年8月17日に発表したImpact Acceleratorと呼ぶプログラムが一例である。名称通り、社会にインパクトを与える事業を選び、その実行をアップルが後押しする。資金を提供、開発を支援すると共に、2030年までにサプライチェーンの100%をカーボンニュートラルにするというアップルの取り組みにサプライヤーとして参加できる機会を提供する。

 アップルは1年前から募集を始めており今回、環境問題の解決に取り組む15社を選んだ。注目すべきは起業家・経営者15人が全員マイノリティー(少数派)であること。漠然と応援するのではなく、マイノリティーの起業家・経営者が手掛ける社会問題解決型の事業を選んで支援する。

 アップルは次のように説明する。「15社が取り組む事業は広く全米で展開される。(中略)領域はエネルギー効率、太陽エネルギー、グリーンケミストリー、リサイクル、その他のイノベーティブな環境技術など多岐にわたる。すべての事業は十分なサービスを受けられていないコミュニティーにクリーンエネルギーとサービスを供給し、機会を提供することに重点が置かれている」。